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我輩はグッチである


“鳥になりたかったゴエモン”

 

ゴエモン逝く…

グッチの独り言

ゴエモンさんがいなくなった。子供たちと同じようにいなくなった。鳴いても鳴いても返事がないし、探しても探しても、どこにも隠れていない。
私がゴエモンさんを探して鳴くと、RITZが一緒に鳴く。時々、眼から出る塩っ辛い水を舐めてあげる。そうするとRITZはぎゅ〜っと私を抱き締める。抱っこは嫌い。だからすぐに逃げる。
ゴエモンさんがいないのは淋しい。だけど、この頃RITZが「ダンナ」と呼んでいる人間が遊んでくれるようになった。ダンナの手はRITZみたいに気持ち良くない。だけど、RITZがいない時にはず〜っと遊んでくれる。
猫キャッチボールとか球拾いとか、走り回って疲れるけど面白い。ちょっとひと休みして、また一緒に遊ぶ。ダンナが楽しそうだから、時々無理して遊んでもあげる。

RITZの独り言

突然の出来事だった。マンション8階、サンルームの外のわずか5cmの縁をつたって脱走を繰り返していたゴエモンが転落。即死だった。
いつもサンルームの窓辺から空を見上げていたゴエモン。自由に憧れて、鳥になりたかったのだろう。私がゴエモンの自由を奪ってしまったから……。
小さな頃には毎日散歩に連れて行った。首輪にヒモを付け、人混みの中を平気で歩く変な猫だった。人も犬も、車も怖がらず、デパート、友人の野球の試合、花見とどこへでも連れて行ったものだった。
グッチが来てからはグッチをシャツの胸元に入れ、ゴエモンを連れて散歩した。が、グッチがあまり怖がるし、私の仕事も忙しくなって、散歩もだんだん減っていった。マンションの廊下や階段で遊ばせるのが精一杯だった。
ごめんね、ゴエモン。

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