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RITZの闘う猫車

登場する仲間たち


スケジュールばかりが意欲的だった10月、仕事も庭造りもあまりはかどらなかった。ちょんの字と過ごした蜜月以来、どうも庭に対する意欲が薄れたままだった気がする。
 でも、おタキさんが帰って来て、俄然やる気が出て来たRITZさん。なにしろおタキさんは「アイツの傍にいると餌が食べられる」と信じ込んでいる様子。バリバリと耕して、たくさんの餌を掘り出して、なんとか餌付けをしようと目論む11月の始まり…。


●11月1日(月) 雨のち曇り/青年の苦悩と姑の甘い罠
 一日雨という予報の今日、溜まった仕事をやっつけるぞ!と朝からやる気満々。ところが昼を過ぎた頃、二十歳の友人がひょっこりと現れた。デザイナー、ミュージシャン、設計と、やりたい事が多すぎて悩む幸せな青年は夢を語り、夢の多さを嘆き、どこまでも突っ走りそうな自分に不安を抱いてもいた。思わず若かりし日の自分を思い出したりなどしながら、語り合うこと4時間。「お邪魔しました!」と白い歯を見せて青年は帰っていった。
 夕食後に頑張るか…と思う私を迎えたのは、冷たいビールと久々に自分用の焼酎を用意した菊の字。ダンナの留守には私を一人占めしたがる私の姑。料理は品数が多く、ダンナは確かに留守。やっぱりやる気だな…と諦めた頃、テレビっ子@菊の字はそそくさとテレビを消し、「あんたの話の方がずっと面白い!」と。。語り明かすこと深夜まで、仕事部屋に拡げまくった書類の山はそのまま、仕事には縁のない長い一日だった。


●11月3日(水) 晴/RITZの前世
 今日は種取り三昧の一日。マリーゴールドはバケツに半分以上、コスモス、姫ひまわり、オクラも山盛り。冷蔵庫や種のストック庫には蒔きそびれた種や球根がひしめいているというのに、この時期になるとやたら種を溜め込んでしまう。
 子供の頃、前歯がニョキっと大きかったのと、気に入ったものをなんでもポケットに詰め込んでいたせいで、従姉妹たちに「リス」と呼ばれていた。そんなことを何故か思い出した。前世はリスだったのかもしれない…などと、真剣に思う。


●11月4日(木) 晴/前世は猫車…?
 仕事で崎戸島(長崎)へ。道中、やたらと猫車にお目にかかる旅だった。まずは崎戸島に渡るフェリーの中で、一人立ちしたままゆらゆら揺れてる猫車。次には本土との掛け橋が完成真近で建設ラッシュの大島の建設現場あちこちで、崎戸島の道路工事の現場でもいくつか。帰りのフェリーでは目の前の造園会社の軽トラの荷台にまで猫車…。
 軽トラ荷台の猫車は雑多な荷物と重なるように二台積まれていて、車の振動に合わせて支え合うように揺れていた。いつしか私は夢中で軽トラの後を追い、気が付くと知らない道を走っていた。。なぜ、こんなに猫車に惹かれるのか…。前世はリスの前後に猫車だったりするのかも…。


●11月5日(金) 晴/命の朝顔、ミカンに化ける
 今日は庭で作業をするほどの時間もなく、「命の朝顔」の種を取った。「命の朝顔」は白血病で亡くなった少年が育てていた朝顔。抗がん剤の副作用にも負けずに小学校に入学したものの病魔には勝てず、少年は学校で育てていたアサガオの花を見ることなく逝ってしまったという。その種はいろんな人たちの手を経てうちにもやって来た。
 家族や友達から始まって、いろんな人がいろんな思いや願いを込めて配っているのだろう。とても美しい花を咲かせ、たくさんの種を実らせ、今でも時折花を咲かせる生命力には驚き以上に感じるものがある。私もできるだけ多くの人に分けたいと思う。
 で、たまたまミカンの収穫に来ていたおばちゃんたちにお裾分け。思った以上にごっそりと持っていかれて唖然としたが、いつものように二抱えものミカンとのトレード。早速、ミカン好きのダイナマイト秋代(実母)に送ったが、果たして勘当は解けるのか…!? 姉が笑いながら語るところによると、私は勘当されているらしい(@_@;)。


●11月6日(土) 雨/晴耕雨家事
 雨で庭に出られない日は、やむなく家の中の溜まった仕事を片付ける。二階の掃除、洗濯、食事の後片付けは菊の字がやってくれるので、主婦としてはラクチンな方だし、おかげで庭仕事もはかどる。だが、菊の字は四角い部屋を小さく丸く掃くタイプ。。で、雨の日は大掃除となる。今日は台所も磨きあげて、気分爽快!ちょっと肩が痛い。


●11月9日(火) 晴/菊の字か、おタキさんか、
 広い荒れ地の雑草は取っても取っても先が見えない状態だったが、なんとか三分の一はクリア。今日は小石を並べて小さな花壇を1つ作ったが、広い座敷に茶碗が一個といった感じで、淋しいの一言。。
 土を掘り返しているとおタキさんがやって来たが、菊の字がちょろちょろしているので近くまでは寄って来ない。私一人だとすぐ傍まで来るのだが、他の人間がいると遠巻きに様子を見ている。菊の字の手は借りたいし、おタキさんの餌付けも始めたい。悩むところである。


●11月10日(水) 晴/秋の陽はつるべ落とし……
 というけれど、秋の一日はホントに早く暮れていく。ちょこまかと雑用をこなしていると、もうお昼?庭に出る前にちとメールを…などと思っているうちに、あれまぁ、歯医者へ行く時間。さぁ草むしりだと庭へ出た頃には大きな夕日が沈みかけ、夕日に染まる海の様など眺めながらしばらくすると、とっぷりと暗くなっている。。
 夏場なら8時近くまでは外にいられるのに、この頃は5時半が限度。とても損をしているような気がしてしまう。早起きをすれば解決するのだけど、子供の頃から、早起きだけは苦手である。


●11月11日(木) 曇りのち雨/田舎ならでは!
 今にも降り出しそうな天気を見て、今日は種まきを決行。。長崎、しかも海沿いという環境なので種まきも11月中旬頃まではなんとかなる。荒れ地に初めて出来た小さな花壇に腐葉土と鶏糞、カキ殻石灰肥料を鋤き込んで、頂き物のポピーと矮性ラグラス(ウサギの尻尾)の種を蒔いた。鍬を使うのは久しぶりで、なんだか腰がぎくしゃくした。
 午後3時頃から仕事で佐賀へ。帰りには深い霧が発生して、辺り一面の畑の上をたゆたう霧のお陰で、まるで雲の上をドライブしているような気分に浸れた。
 嬉野に差し掛かった頃、突然目の前に現れた背高のっぽの軽トラ、見ると車高の三倍以上のワラを積んでのんびりとゆらゆら走る。カーブに差し掛かる度に、ワラが右に左にと倒れそうになる。たぶん牛の餌なのだろうが、後ろを走っている私の車のフロントガラスに、晩秋の落ち葉のようにワラ屑ガ吹き付ける。せっかちなドライバー達が次々と追い越して行く度に、ギョっとする様子が車体に現れる。田舎ならではの楽しいドライブであった。。


●11月13日(土) 晴/RITZの災難!
 明け方頃、頬の辺りを掻こうとしたら、いきなり左手に殴られて眼が覚めた。。飛び起きて調べてみると、左手首から先がぐにゃぐにゃでいうことをきかなくなっていた。慌てて救急病院で診てもらったところ、神経麻痺と判明。月曜日に詳しい検査をすることになった。
 原因は手首の圧迫らしい。昨夜は友人が訪ねてきて、楽しい酒盛りのあと曝睡してしまった。。普段なら手が痺れて眼が醒めるところなのだが、アルコールのせいで眠りが深く、麻痺する結果になってしまった。もともと酒に強い体質らしく(家系か…?)酒で失敗したことはなかったのだが、今回はなんとも情けない大失敗である。。ごく稀に起きるアクシデントだということだった。
 私は昔から、何故だか奇妙な目に遭うことが多い。強盗、誘拐、泥棒、ひったくり、etc。短大の帰り道に強盗に襲われ、何故かナイフを奪い取ったことから「勇敢なお嬢さん、現金360円を奪われる!」と実名入りで新聞に載った。ブルースブラザースもどきの妙な外国人二人組に誘拐されかけて派出所に逃げ込んだ時も、あちこち破れた服装にもかかわらずお巡りさん達に大笑いされた。
 わが家に入った泥棒は大して盗むものもなく、子猫のウンチを踏んで私の一張羅のセーターで足を拭いていた。ひったくりは請求書のつまったボロバッグを持ち去り、私に向かって突進してきた自転車の少女は、私のセーターの片袖を持ち去った。果たして私は運が良いのか、悪いのか、今夜は妙に気になってしょうがない。。


●11月14日(日) 晴/何もしない日 その1
 忙しい日々の中で「何もしない一日」に憧れていたのだが、幸か不幸か何もできない状態になってみると、一日黙々と本を読み耽っている。私にとって何もしないとは読書をすることだったのか…などとつまらない疑問を抱く。休憩に窓から海など眺めていると、あれをしなきゃ、これもしなきゃと体中がむずむずしてくる。目を落とすとだらりと動かない左手。可哀想に…と、欲張りな脳ミソに日毎こき使われている私の身体を気の毒に思ったりもする。なんにもしないでいると、どうやら思考回路も停滞してしまうようだ。あぁ、心と身体が分離していく。。


●11月15日(月) 雨/何もしない日 その2
 検査の結果、左手神経麻痺は全治4,5日から4,5ヶ月と。。回復にかなりの個人差があるので、一概には言えないということだった。本を読む手に力が入らないので、本を読めば肩が凝る。他にできることもなく、久々にサイトの更新をした。が、片手キーボードは、これまた疲れる。これから回復までの日々、何をするのだろう…。退屈で、退屈で、夜も眠れない。。何ができるのか、明日じっくり考えてみよう。


●11月17日(水) 晴のち雨/獅子座流星群ライブ報告 (ウソ)
2:00a.m. ベッドに入ったものの、な〜んか忘れてる気がして眠れない。で、本を読んでいると、突然ひょこっと思い出した。17日未明、獅子座流星群だ! 未明って夜明け頃って事だよなぁ。けど、夕方には雨が降ってたし…と、外に出てみるとハレルヤー!! 満点の星空。。頑張るぞ〜、見るぞ〜、寝ないぞ〜。。

3:35a.m. 獅子座流星群をいろいろなサイトで調べてみたが、はっきりした時間帯はわからなかったので外へ出てみる。空は相変わらずきりりと晴れ渡った星空。いきなり流れ星を二つ見たが、目当ての北斗七星を探すと、東の空にうすぼんやり…!? マズイ、東の方から雲がかかりつつある。寒くなって、吐く息がタバコの煙のように白かった。未明までは、まだまだなのに、そろそろ眠くなってきた。

4:40a.m. 外に出た途端に暗くて雨音。駄目か! と思ったが、雨音と思ったのは夜露が屋根から落ちる音。遠くニワトリの鳴き声が響き始めた頃から一気に四つの流れ星を見た。そろそろ始まるのか…。。寒くて半纏を取りに行き、ダンナを叩き起こす。

5:10a.m. 東から西から、あっという間に雲が押し寄せていて、北斗七星は見る見る雲の陰。と、ダンナが来て「なんでこんな所にいるの」と言う。聞けば南側の庭で早くも四つ見たと言う。慌てて南に移動したが、結局大きな一つを最後に、空はすっかり雲に覆われた。。

になって日付け違いが判明。いろいろ調べていて、おかしいな…とは思ったのだが、やっぱり。。教えてくれた友人は平身低頭だったが、いざ!という今日は雨。しかも夕方からかなりの降っている。やっぱり見ていて良かったと、間違えてくれた友人に感謝。。ピークが今日というだけなので、これからもしばらくは見られるという話。お楽しみはまだまだ続く。。


●11月18日(木) 晴/RITZ復活!
 配線工事の残りのアルミ板、バンダナとヒモで作った特製ギブス(めちゃ不格好!)のおかげで、かなりなんでもできるようになった。握力が戻ってきて車の運転も楽々だし、指が何本か使えるのでキーボードも少しは楽になった。庭仕事もぼちぼちできるし、残るは水仕事のみ。。
 特製ギブスをはずすと手首はぶらぶら状態なので、顔を洗うと眼を突く、指を鼻に突っ込み大騒ぎだが、お風呂では右手が洗えない程度。家事全般は菊の字がやたら張り切っているので、これを口実にお任せ状態。。結構ラクチンな生活であったりする。
 これまでは手が不自由な人達の苦労を頭では理解していたが、片手が麻痺して初めて、どれだけ不自由なことか少しだけ分かったように思う。「何ごとも経験だ」と言われるが、この言葉の持つ深い意味にこれまでは気付かなかった。当り前だと思っていた健康に、もっともっと感謝しようと思う。


●11月19日(金) 晴/ある時はミュージシャン
 常日頃は仕事、庭造り、植替え、種まきとなかなか家を空ける気にならないので、役立たずのこの時期、思い切って出かけることにした。友人の店のパーティーで、十数年ぶりにかつてのバンド仲間が集まってドンチャンやらかすという話。私のバンドのメンバーも珍しく揃うということで、久々にやる気を出して発声練習に余念がない。手に持つクワをマイクに変えて、さてさてどんな結果になることやら…。


●11月24日(水) 晴/食い放題、飲み放題、遊び放題な北九州の旅
20日 関サバ、関アジ、極上馬刺、舌もとろける馬レバー、新潟の地酒“〆張鶴”に舌鼓を打った後、かつてのバンド仲間とリハーサル。友人のライブハウスは楽屋と化し、練習という名の宴会は、ボジョレ・ヌーボーの空瓶を増やしつつ早朝まで続いた。
21日 目覚めると歌い過ぎと喋り過ぎで喉はガラガラ。ワイン飲み放題というゴージャスなパーティー、懐かしい顔ぶれとの楽しい時間は堪能したが、我がバンドのライブは「解散してて良かった」という結末に…。。
22日 実家に帰り、生牡蠣、カニ、ボジョレ・ヌーボーで御満悦。酒に弱い姉が、笑いながら倒れていた。。似たもの姉妹、である。
23日 久しぶりの同窓会に参加。話したこともなく、授業を受けたこともなかった柔道部顧問の豪快な先生と日本酒談議で意気投合。先生の馴染みの店を引き廻される羽目になったが、最後に間違って入ったショットバーで素晴らしいジンを発見!!が、名前は忘れた。
24日 ようやくわが家に辿り着くと、枯れかけたダンナと姑と植物たちが待っていた。。また当分の間、家を空けられそうにないと痛感。


●11月26日(金) 曇天/冬将軍とおんぼろストーブ
 ずっと暖かい日が続いていたが、ついに冬将軍の到来か。。またまたおんぼろストーブの出番である。海辺のわが家では海が冷暖房に一役買ってくれるので、夏の夜は涼しく冬は暖かい。でも、雲が厚く重たく立ち篭めた今日のような日には、海も暖まらないのだろう、やっぱり寒い。。ついにストーブを引っ張り出した。今年は買い替えなきゃね…と毎年繰り返しながらもそのまんまのボロストーブを3台。。
 暖かくやさしいストーブの傍でぬくぬくしていると、ボロもここまでおんぼろになると愛着が湧いてしまうのだと妙な感動を覚えた。特に私の仕事場(寝室)のボロはスターウォーズのR2D2に似ている(自己満足!)。。初旬から専用の電気ストーブを愛用しているグッチ婆さんも大喜びの様子で、篭(ベッド)をストーブの前に持っていけと鳴く。


●11月27日(土) 曇りのち雨/冬の庭のUIUIたちv 私の大好きなDandelion H.P.の30000カウント突破のニアピン賞で、開けてビックリのキウイたちが送られてきたのは数日前の事。“UIUI”と名付けられたキウイはこれから熟して私のお腹に収まるまでの間、いろんな冒険をすることになっている。そして、わが家のUIUIたちの冒険は、各地に送られたほかのUIUIたちの旅の様子と共に、Dandeさんちで世界でビューを果たすのである。。
 ところがどんより曇り空続き。UIUIたちは恨めし気に窓から見える海を眺めているばかり。そこで、今日は思い切ってUIUIたちを初めての冒険に連れ出した。仲間も集まってきて、小雨のぱらつく中、UIUIたちの冒険が始まった。。
 手が不自由でしばらく庭に出ていない間に、針槐の鮮やかな黄色の照葉も艶を失い、ついに落葉の時期。根元では落ち葉の下からサフランが小さな花をたくさん咲かせている。夏以来手入れを怠っているにも関わらず、庭はマリーゴールドや小菊、満開のツワブキやトラノオ、ホトトギスに名も知らぬ花たちが元気に咲き続けている。UIUIたちも楽しみなことだろう。


●11月28日(日) 曇り/……哀愁のランチ……
 左手が使えないので右手を酷使したらしい。右の肩が刺されるよう痛んで動かせない。。というわけで、今日のランチはダンナが張り切った〜〜〜!
 意気揚々と買いものに行ってインスタントのパスタとピッツァを仕入れてきたダンナは、ちっちゃなピッツァ一枚をドでかいオーブンで焼き、インスタントのパスタを巨大なパスタ鍋で茹でていた。側でいそいそとサラダを作っていた菊の字は、久々の息子との共同制作にアガったのか、シーチキン入りの酢の物を作ってしまった。。残りもののヌーボーも添えられた真心のランチ、見かけだけは立派なものだった。今、ディナーを思うと、戦慄が走る。。。


●11月29日(月) 晴/サラダ三昧
 明日から料理の撮影で、ハーブ抱えて福岡へ。私の今回の仕事はテーブルや食器のコーディネイトとサラダ作り。と言っても今は手が使えない状態なので、友人たちに助っ人を依頼。撮影の後の毎度お馴染みのパーティーがさらに姦しくなることだろう。
 普通の撮影なら料理の“色”を重視するので、平気で絵の具を混ぜたりもする。でも今回組むメンバーも全員が私のサラダファン。「イリコのサラダも入れてね」というリクエストに加えて、「本物を撮ってこそプロ」などと突然真面目になるお方もいる。
 そんなわけで今日はドレッシングのレシピ作りに専念。日頃いい加減に作っているので、今頃慌てて分量計算をしたのだが、それはそのまま自分のサイトで使おうというセコイ魂胆。そして当然のごとく、今夜のおかずはサラダ三昧。。。


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