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RITZの闘う猫車

登場する仲間たち


●2002年09月01日(日)/台風の爪痕ザックリ・・・RITZガックリ

9月に入ったら、庭仕事もネット遊びも元気いっぱいに再開しようと思っていた。なのに、なのに、久しぶりのリスタートがこんなタイトルになるなんて。。。(号泣) 台風一過。針槐の庭は……あぁ、口に出すのも恐ろしいことになってしまった。明日が怖いっ。。。
ここに越してきてやがて丸7年になるが、まだひどい台風にはあたったことがなかった。今回も暴風雨のあい間に「台風体感大会〜♪」などと毎度のお気楽気分で外へ出てみるまでは、こんなひどい有り様になるとは思ってもみなかった。しかし、いったん外に出てみると・・・堤防(らしき土手)に打ち寄せては砕ける波飛沫が暴風に煽られて高々と舞い上がり、さらに舞い狂いながら塗り替えピカピカのわが家めがけてまっしぐら〜!!! あぁ、なんつーこと。台風のピークと満潮が見事にランデブーしたらしい。。。
しかも、この8月の猛暑の中、人に見られれば死にたくなるようなUV対策ファッションで日陰を選んで暗くなるまで雑草を刈り取ったというのに、しみじみと眺めてみれば……もしかして、あの丈高く頑丈な雑草があったら潮除けになったんぢゃ??? おお・まいがーーーっΨ(TOT)Ψ


●2002年09月02日(月)/8月30日の日記 vs 今日のショック

『'99年末の左手首の神経麻痺からはじまって、動けずに運動不足がちになった身体を次から次へと病気が襲った。ようやく体調が戻った今年の1月末には自分のドジから怪我が続き、これも半年を経て6月にようやく完治した。血液検査の結果も「殺してやりたいほど健康!」と飲み友だちでもある医者に妬まれ、体調もようやく安定した。でも、本当にこれで終ったのか……?ニ年半、怪我と病気の怒濤の連鎖があまりにも長く続いたため、まだまだ終った!とは確信できないでいた。
それでも、8月から始まった家の外壁の塗り替えやテラスの改修工事が丁度良い気分転換になり、おがくずの粉が舞い込んだ室内を片端から掃除しているうちに、身体の方がだんだん目醒めてきたようだった。家中のガラスを磨き終る頃には、庭に出たくてうずうずするほどになっていた。というのも、ガラスの向こうに見える畑……丈高い雑草に覆い隠されていたために大工さんたちにただの草叢と思われて資材置き場にされていた……があまりにも悲惨な状態だったからだが。
2年半の間に庭はすっかり野原のようになりもしたが、ちょこちょこ手を入れて雑草などとっていると、それなりに落ち着きと風情が出てきているのに驚かされた。小さな木たちは手入れもされないのにそれぞれに成長し、ハーブたちはそれなりに譲り合いながら本来の野生を取り戻したように見えた。針槐の庭は、庭守RITZがいない間にもしっかりと成長を続けていたのだ。そして、私を待っていてくれたのだ!!!
ノコギリと刈り取り鋏を手に奮闘してようやく姿を表した私の小さな畑の向こうには、広々と海が見えるようになった。あっちをもっと刈って、あそこは整理して・・・と、むくむくとやる気が満ちてくる今日この頃だが、はたしてこのまま復活なるか……!?
いやいや、くよくよ気にするよりも、がんがん前に進もう!!!』
一昨日、私はこんなことを書いていた。
なのに今朝、目覚めてブラインドを開けた途端に目に飛び込んできた光景は・・・荒野?廃虚?砂漠?火星?秋の紅葉もすっ飛ばし、冬枯れの景色もパラダイスに思える。。あな恐ろしや、潮の力!なんとすさまじい塩害!!!
パンチパーマでもかけられていたような針槐は骨と化し、茶色一色と化した荒れ地からウフフとにじり寄ってくる元気な貞子@レモングラスが怖い。潮にも負けなかった芝生の鮮やかな緑は降り積もった針槐の枯れ葉に埋もれてしまっている。
タチナオレナイカモシレナイ。。。


●2002年09月03日(火)/笑われる運命なの???

昨夕までとんと忘れていたのだが、今日は胃癌、大腸癌検診の日だった。おかげで昨夜の9時以降は禁酒、禁煙、水もつまみ食いも一切禁止という、目一杯夜を楽しむ夫婦にとってはなんだか淋しい試練の夜。。。
一夜明けて今朝、早朝にすっきり目覚めたRITZは「煙草厳禁!水もダメ!」と自分に言い聞かせ、検査を受けるべく早めに支度を済ませたあと、昨夜壊したCGIなど眺めながら余裕綽々でコーヒーを飲んでいた。ギエーーー!町の検診は今日までなのに。。(汗)
「ついうっかり(←強調)コーヒーを飲んでしまったんですけど・・・」
そばでGONZOがニヤニヤ、受付の女性がクスリと笑い、係の女性がアハハと笑いながらカルテに何やら記入。『うっかりコーヒーを50〜100cc』と書いてあった。(バカヤロー。)
結局、長い順番待ちで時間も経過したから大丈夫だろうということになり、昼過ぎについに検査車へ。入った途端、カルテを見た検査技士の叔父さんがプっと吹いた。ははは。
たっぷりと発泡剤とバリウムを飲まされ、「ゲップは我慢して」と念を押されていざ撮影へ。縦横斜めと転がされ、「はい、終わり」の言葉も終らぬうちにゲーーーップ!技士の叔父さんから「威勢の良いゲップやねぇ」というお言葉をいただいた。
帰り道、「今日もみんなを楽しくさせたね」というお言葉を、GONZOからいただいた。とほほのほ。

●2002年09月05日(木)/被害レポに・・・ゾッ

台風以来、庭の修復に追われている。元気に育ってきた木たちだから、じきに回復してくれるとは思うけれど、放っておけば確実に枯れてしまう木も多い。今回は根元から折れてしまった木がないのが唯一の救いだ。今後のためにメモをとった。このくらい覚えていそうなものだが、一年もたつと結構忘れてしまうところが悲しい(^^;


主枝が折れた木
:紅葉、サルスベリの仲間(名称不明)、枝垂れ柳、枝垂れ桃、四季咲萩、、西洋人参木
倒れた木:紫式部、デュランタライム、エルダ−、レモン(重傷)
葉枯れ:海側:バナナ、ライム、以外全て重傷
小鳥たちの庭:全て重傷
ハーブ並木:月桂樹、マートル以外全て重傷
茶庭:侘助椿以外全て重傷
玄関側:雪柳、枝垂れ桃重傷
ハーブ:レモングラス、タイム、ローズマリー、ラムズイヤー以外全滅

早く手当てをしておかないとどんどん弱ってしまうと気ばかり焦るものの、やってもやっても追いつかない。見上げるほどに高くなる枯れ枝の山にため息つく間も惜しみながら黙々と作業を続けているが、こんな時には、庭が広すぎると思う。。。
なんとか緑を留めているハーブたちの上にはあれやこれやの木々の枯葉が降り積もったまま、芝生の上には掃いても掃いても針槐の枯れ葉が降り積もる。いくつかの窓には潮の結晶がこびりついたままだし、巨大になった枝垂れ柳の根元のコンクリートが壊れかけている。参った。。あぁ、千手観音さま、ちょいとお手を貸してはくれませぬか???

●2002年09月06日(金)/のんびり?

庭に出られない時間帯はやたらぼんやり過ごしてしまう。仕事もだんだんたまってきているのに、まったくやる気が湧いて来ない。昨夜は滞ったままのメールのお返事を書こうと思ったけれど、ちっとも言葉が浮かんで来ない。本を読んでも上の空、ならば……と、サイトを更新してみたら手が付けられない有り様になった。
8月下旬にGONZOのG4を譲り受けたまでは良かったものの、HP作成ソフトもメールソフトも、いまいちうまく機能していないのだ。HP作成ソフトは開発打ち切りになってしまったので、この忙しい中、新しいHP作成ソフト<Dream Weaver>をちょこちょこ勉強しながら使っているあり様。そんなこんなで焦りが集中力をかき乱しているのかもしれない。。
今日はなんにもせず、のんびり休むことにしよう。
・・・のんびりって、どうすればいいのだったっけ???


●2002年09月07日(土)/ライムの香り

台風以来一週間ぶりのGONZOの休日。ああだこうだと逃げ回るところを捕まえて「酒抜き!」と脅し、あれこれ指図してコキ使う。その後、剪定中にみつけた初生りのちいさなライムを収穫し、私はニコニコと芝刈りに専念。本日、めでたく傷んだ木たちのレスキュー完了!!!
あとは枯れてしまったハーブたちを刈り取るだけ・・・と言ってもなんせすごい数。剪定鋏でちまちまやる作業なので、これも結構手間がかかりそう。ま、ボチボチやりましょう。。。
お日さまが沈む頃から急激に気温が下がるようになり、夜は天国。作業のご褒美にこっそり隠しておいたボンベイジンをGONZOにふるまう。もちろん、4年めにして初生りのライムを絞って。
「おおー、いい香り!やっぱ、労働のあとの酒は旨いな!」とGONZOゴキゲン。私に言わせるとちょろっと指一本貸してくれた程度じゃない?でも、もぎたてライムの香りは華やいでいて若やいでいて、初体験のボンベイジンは軽やかで鮮烈で、私のボヤキも一緒に一気に喉に流し込んでくれた。


● 2002年09月08日(日)/とある休

今日は我が町の町長選挙。家族三人そろって選挙に行き、昼は具だくさんの山盛りのイカ焼そばとビール。ペロリと平らげて、全員お昼寝をむさぼる。
昼過ぎから過去にも十数回は観ているビデオ“七人の侍”を楽しみ、夕刻、GONZOと針槐の剪定(RITZ指示、GONZO労働)をして、ぷりぷりライムを1個収穫。
晩酌はRITZ作まつたけご飯と菊の自作煮魚、いただきもののウニと好物の“ごどうふ”。ビール→泡盛、仕上げは採りたてライムを絞ったボンベイジンをテラスで楽しみヘラヘラ〜な夫婦。じつは今日、二人はある約束をしていたのだ。
休日でも、片割れがふっとマックに向かえば、釣られて片割れもマックに向かう。そうして休日だというのに、いつの間にかどちらも仕事をしているのだ。SOHO生活者の悲しい性か…!? どちらも仕事を楽しんでいるという証かもしれないが、休日の終わりには「また仕事をしてしまったね」とつぶやき合う。
そんなわけで、今日の約束は「絶対に仕事をしない!」こと。どちらも仕事をせずにのんびりできたが、あまりふだんの休日と変わりはなかったような気もする。。楽しみにしていた選挙結果は見逃した。明日は新聞も休刊日。あ〜ぁ。。。


●2002年09月09日(月)/また騙されるのか?

ようやく久しぶりの更新完了!
さて、いよいよじ〜っくりとメールのお返事でも書くか・・・と思っていたら、実家の秋の字の具合が悪いとのこと。玄関を開けたら「ほ〜ら、帰ってきた!」といつものしたり顔が見られることを祈りながら、ひさしぶりの里帰りだ。お刺身たくさん買って帰ろう。


●2002年09月16日(月)/RITZ 返り討ちに遭う

姉貴様からの通報により、秋の字の病気は、やはり毎度の仮病と判明。
でもよぅく考えてみたら、忙しい日々が続いてニ年近く実家に帰ってない。もちろんその間、秋の字や他の家族の方がちょこちょことうちへ遊びに来ているのだけど、秋の字に言わせると「私が家に呼ぶ」ことと「私が実家に帰る」こととはまったく別物であるという。私にゃようわからん。。。
いずれにしろ準備もしたし・・・と、お土産を買い込みウキウキと実家へ。ところが、待っていたのは雪崩のような愚痴の奔流とキビシーーーイ小言の山!これも毎度のことなのだが。。そして、
「マイナス思考はダメよ。なんでも楽しい方に考えると楽になるよ」などと言う私の言葉に、「なんでもかんでも悪いのは私なのか−ー−!」と秋の字逆噴射。とっとと部屋を追い出され、親不孝娘は、またもや人生ニ十数度目の『勘当』を喰らってしまったのであった(TOT)
かくして、慰めようと帰省して返り討ちに遭ったRITZは、笑いを噛み殺した姉夫婦や姪や甥に慰められ、山盛りのお土産を頂戴して、「元気で何よりかも……」と実家を後にした。
あぁ、激しい雷雨が母の怒りが追っかけてきてるように思えてならないのは、母の言葉の数々に少しは心当たりがあるからなのだろうか?楽しく、のほほんと老後を過ごしてもらいたいと願うばかりなのに、いまだ家主の座を頑なに守ろうとする母の気性の強さを思うと、まだまだ穏やかな老後は遠い。
ん〜? 待てよ。
去年の勘当も・・・まだ解けてなかったんじゃなかったかな!?!?


● 2002年09月17日(火)/

およそ一週間ぶりに庭に出た。風はすっかり秋の匂いに変わっていて、空も遠く、高く、夏の気配など微塵もない。
台風でやられて茶色一色だった景色の中に、早くも針槐の鮮やかな緑が目立ち始めた。芝を刈ると、芝生は鮮やかな緑を取り戻した。帰省している間には、諦めかけていたリンデン(菩提樹)やライラックも目覚めたばかりのように一斉に葉を拡げはじめている。
目の前に拡がる荒れ地が日陰になるのを待って、わっせわっせと薮に分け入り、台風で立ち枯れ状態になっていた雑草を刈り取ると、庭はまるで春の芽生えの季節のように見えた。
私の木たちは強い!彼らはなんて逞しいのだろう。庭に降り注いだ潮は、じきに土のミネラルに変わっていくのだろう。こうしてめげること無く、私の庭はじっくり、じっくりと育っていくのだろう。そして私は、いつまでもこの庭に励まされながら、癒されながら、のんびりと歳をとっていこう。
・・・と、今日は月が空高く輝く頃まで庭先で自然に抱かれた気分を楽しんでいたのだが、「ご飯の支度もせずに何をしよる」と菊の字に現実の世界に呼び戻され、ハイハイと作ったブリ大根はほこほこと秋の味だった。大満足の一日。


● 2002年09月18日(水)/ヤモちゃん、ごめん!

田舎に越してきてやがて7年。かつては苦手だった昆虫や爬虫類が大好きなり、中でもヤモリにはすっかり魅了されてしまった。みつけては何時間も飽きずに眺めている。でも、たまに悲しい事件も起こる。赤ちゃんヤモリが座布団の下で煎餅になっていたり、サッシのすき間で息絶えていたり……(;_;) そして昨夜も、窓を閉めようとしたら、サッシの敷居に赤ちゃんヤモリがいた。。。
網戸で餌を食べられるように外へ出そうとしたところ、小さすぎてなかなかすき間から追い出せない。かなりの痩せっぽっちで、全長5cm弱。慎重にやらなければ、ちょっとのことでもつぶれてしまいそうにひ弱だ。そうこうするうちに赤ちゃんヤモはちょろりと私の掌の中へ逃げ込んだ。
ひんやりとした肌触り、吸盤の付いたちっちゃな手足、真っ黒なつぶらな瞳。レスキューのために何度も触れたことはあるが、昨夜は何故か誘惑に抗しきれず、しばしヤモちゃんとのスキンシップを楽しんだ。
よく見ると、髪の毛を飲み込んでいたようだったのでピンセットでゆっくり慎重に抜き取り、2分ほど愛でた後、網戸に放したのだが、赤ちゃんヤモはそれきりまったく動かなくなってしまった。
2時間たっても動いた様子がないばかりか、そっと触れてみると、だらりと網戸からぶら下がった。その後、口を大きく開けてゲッ、ゲッと吐くような素振りを見せ、ひきつけを起して、やがて死んでしまった。
今日は朝から赤ちゃんヤモを埋めた。
はじめから弱っていたのか、怖くてショック症状に陥ったのか、髪の毛を抜き取る際にどこか傷つけてしまったのか、それとも、やはり私の掌の熱で煮えてしまったのか?
夜になって、ネットで質問した方から返事があった。ヤモリのような低温の爬虫類は基本的には気温に近い体温で生活しているという。そのため、人間の体温のように高い温度で長時間接していると、だんだん弱ってしまうこともあり得るということだった。
すずめっ子クラブで毎日のように「自然なものはできるだけ自然なままに」と書いている癖に、なんとも情けない。ひどいことをしてしまった。


●2002年09月20日(金)/酔待月

明日は中秋の名月。新暦の「中秋の名月」と旧暦の「中秋の名月」が同じ日になるのは稀なことらしく、「中秋の名月」が満月になるのもさらに稀なことだとか。つまり、今年の「中秋の名月」は「見逃してはならない名月」ということになる。口実をみつけては宴会に結びつける針槐庭の夫婦にとって、これは絶好の酒飲み口実である。
・・・ということで、わが家では数日前からお月見が続いている。まず、風呂で電気を消し、ブラインドを上げ窓を開け放ち、のぼせるほどに月を楽しむ。お次は、風呂上がりのビール(このところ頑張っているミント征伐のご褒美)を月光を浴びながら楽しむ。そして、食後のほろ酔い気分を引きずって、月を眺めながら「中秋の名月宴会」の仕掛けを練るのである。
今夜は風もなく寒くもなく、たまに船団のように月の手前を横切るダイナミックな雲がさらに月夜を盛りあげる。宙空高く輝く月はまるで昼間のように私の庭を照らしていた。


●2002年09月21日(土)中秋の名月

田舎暮しは楽しいけれど、どこへ行くにも車がないと不便なところはちょっと欠点。何故ならば、呑めないからである。
そんな時に便利なのがハウステンボス!ビールランチを楽しんで、のんびりお散歩しながら酔いが醒めるのを待つ。という訳で、今日もハウステンボスでビールランチ。大食い夫婦はほぼ4人前のピザとパスタを平らげた(毎度のこと)。ゲップ。
帰りに今夜のお月見用の食材を買いに行った・・・までは良かったが、買物の途中で私の足がこむら返り。これが反らせても、揉んでも、叩いても治らない。昨日、平均台のような足場でミント征伐をやり過ぎたせいだろう。恥も外聞もなくフロアに座り込み、親切な従業員さんが運んでくれた椅子の上でひたすら足を揉んだ。ついでに買物客の無関心ぶりも観察した。ケガでもしたらしい中年女よりタイムサービスの方が目を引くようだった。
すっかり暗くなった帰り道、虚空蔵山の向こうに顔を出した月は異様にでかく、赤く、どんよりでが〜っくり。でもメゲてなるものかと月見の準備に精をだし、宴の準備が整った頃には天空高くまんまるくっきりのお月さまが浮かんでいた。
こむら返りのせいで料理はできあいの惣菜になってしまったが、器よければ気分良し。深夜にはお隣のご隠居と若夫婦も加わり、すすき代わりに飾られた雑草が褒めちぎられて、はにかんでいるように見えた。


●2002年09月22日(日)/鬼木の棚田祭り

今日はご近所瓦版でも紹介している陶芸の里、波佐見の鬼木棚田の棚田祭りに行った。日本の棚田百選に選ばれいるだけあって素晴らしい風景と手作りの祭りならではの楽しい出来事もたくさんあった。でも、今日はそれを書く気分にならない。これは近くご近所瓦版で紹介することにしよう。
家に帰ると、すずめっ子クラブに「嘴が曲ったヒヨドリ」の相談にきた方からのメールが届いており、一枚の写真が添付されていた。ショックだった。その長い嘴は「曲っている」と言うより、完全にずれて上下が交錯しているのだった。元気に飛び回っていると聞いていただけに、その姿を思い描いてしまい胸が痛む。
もちろん、育てた方のせいではない。事故か、先天的なものかも定かではない。あまりに悲惨な写真なので、載せるべきかどうかも迷ってしまい、深夜になって、ようやく掲示板に載せた。
すずめっ子クラブを始めて2年が過ぎた。保護された野鳥たちが元気に自然に帰ったり、親鳥が迎えにきて一緒に飛んでいったというレポートが与えてくれる感動は今も少しも変わりない。でも、時々、読むだけでも落ち込んでしまうような悲しいメールが届く。怒鳴りつけてやりたいほど腹の立つメールもある。そして、時には思いもよらない重傷の野鳥たちの写真も届く。
もちろん、そんなことで挫ける私ではない。協力してくれる仲間もできて、応援してくれる方も増えて、これからもガンガン頑張っていくのだ。だけど、やっぱりこんな日には、自分のやっていることがなんの足しにもならないのだと思えてしまう。


●2002年09月23日(月)/春でもないのに

台風で丸裸になった針槐はすっかり緑を取り戻した。だけど、なにかが変……と見ていたら、秋だというのに花が咲き始めている。どうやら葉っぱを全て落としてしまったせいで、季節を勘違いしてしまった様子。他にもおとぼけな木はないかと歩いてみたら、ちいさなモクレンも花をつけていた。季節外れのちょっとしたプレゼントみたい。明日は針槐の花の天ぷらを楽しもう。


●2002年09月25日(水)/地下茎の悪夢

「秋晴れの日本列島」という昨夜の天気予報を裏切って、今日は朝から曇り空。う〜ん、庭日和♪ 昨日は一日仕事に明け暮れたので、今日は昼からミント征伐に乗り出した。
ミント征伐はなかなかはかどらない。10日近く頑張っているのに、まだ半分も駆逐できていないのだ。。なにしろここ数年の間に地下茎がびっしりと絡み合って、分厚い層を作っている。しかも、頑丈な地下茎はツツジの下を潜り、紅葉の根を抑え込み、いろんな宿根草の根元からご機嫌よろしく顔を出している。「誰が植えたんだ−ー−!(私だ)」と叫びたくなる。
さすがに飽きていたので、急きょスケジュールを変更して、茶庭の除草、剪定に取りかかる。が、ここにも問題児あり!こちらではホトトギスが我も、我もと地下茎を伸ばして増え拡がり、侘助椿の肩身を狭くさせていた。「誰が植えたんだ−ー−!(秋の字だ)」
海辺の畑は「根を掘れば地獄に届く」と言われるスギナがびっしりと覆っている。ハーブガーデンはボック・セージに蹂躙されつつある。地下茎!地下茎!地下茎!あぁ、悪夢だ。。。いったい、いつになったら地下茎と睨み合わずに済む日が来るのだろう???
しかもこの地下茎、見えない土の中をこっそり執拗に這い拡がっていくばかりでなく、茎のかけらでも残っていようものなら、すくすく元気に発芽して、あっという間に元通り!
いやだ。こんなのは二度といやだ。今度こそは、絶対に駆逐してやる−ー−。

 

グッチにゃん大往生のため、9月26日〜10月11日の日記は
老猫グッチのモノローグ”のページに移動しています。

 

●2002年10月14日(月)/一日

グッチがいなくなってから5日がたった。時は変わらず流れているのに、一日の終わりには、なにか大事なことを忘れてしまっているような気がしてならない。
グッチの鳴き声で目覚めて、朝一番はグッチのご飯。目につく度に水を替え、ブラッシング、トイレの掃除、便秘解消マッサージ、カゴの掃除。鳴き声かカウベルの音が聞こえる度に撫でては話しかけ、おやすみを言って寝た日々。今は、一日一度水を替え、花を供え、手持ち無沙汰を埋めるように線香に火を灯してばかりいる。
8年前にグッチが死にかけたこともあって、ゴエモンやすずめのディーディー、それ以前に育てた犬猫のこともあって、グッチの死はしっかり受けとめることができたと思う。問題は、突然日常から欠落してしまった、21年近く続けてきたサイクルのブランクなのだ。
GONZOは相変わらずのペースだ。家事や食事の度に移動しているグッチの骨壷をみつけては、「お、グッチ、ここにいたか」と笑う。19年、私がいない時にはいつも面倒を見てくれていた。とくにここ三年、グッチはほとんど事務所にいて、私が庭仕事などしている間もずっとGONZOが面倒を見てくれていた。仕事に集中してる時には邪魔をするんじゃないぞ!などと、グッチに説教していることもあった。この季節には膝も淋しいことだろう。
菊の字もここ数日はイライラと怒ってばかり。やはり淋しいのだろうと思う。つらいのは、私ばかりではない。できるだけ早く、グッチのいない生活に慣れなければ。。。


●2002年10月16日(水)/グッチがいる!

今日、ある人が教えてくれた。
人が家族同然に育てた動物は、亡くなってからも35日はずっと家にいるそうだ。自分でしっかりお別れをすませて、名残りを惜しんで、35日たったら天国に帰るんだそうだ。
グッチはまだここにいる!・・・それだけで悲しさが吹っ飛んでしまったような気がする。と言っても、ここ数日は心の中が静かに、穏やかに澄みきってきたような気がしていたのだけど。案外、それもグッチが見守っていてくれたからかもしれない。こんなステキな話は信じるべし。
それと、動物たちは人間と違って、自分の骨なんぞに執着しないとも聞いた。グッチの骨壷を抱いて動き回ってた私はなんなのだ?もしかすると、グッチに笑われていたかもしれない。今日からは定位置(机横)で落ち着かせて、できるだけ早く埋葬してあげることにしよう。
明日は庭にでも出てみようかな。グッチが安心して旅立てるように、元気なところを見せとかなくっちゃ!
ひさしぶりに夜空を見上げたら、おっきな三日月が笑っているように見えた。


●2002年10月18日(金)/カウベルと秋の虫

あっという間に秋も深まり、夜は毛布なしでは寒いほどになった。夕方からはしとしと降りはじめ、今日の『名残り月』は見逃してしまった。『名残り月』は中秋の名月とセットになった月夜で、中秋の名月を楽しんだ人は見ないと縁起が悪いとか。酒好きの先達たちの言い分だろうけど……酒好きの後輩としては、しごく残念。
ここ数日は一日机にしがみついて、訳もなく長年使っているソフトのマニュアル再チェックなどしては、知らなかった機能などみつけて喜んでいたが、仕事も家事も溜まりに溜まってすでに逃げ場はない。やむなく、週明けからは日常に復帰することにして・・・週末までは遊ぼう。
なんだか、グッチがまだここにいると思えることで、とても気が楽になったような気がする。骨壷を抱いて動き回ることもなくなったし、涙もほとんど出なくなった。ひとつ参っているのは、秋の虫たち。虫たちの鳴き声がグッチが長年つけていたちっちゃなカウベルの音にそっくりで、思わず立ち上がってしまうのだ。虫さんたち、今年は早めに冬眠しておくれよ。


●2002年10月27日(日)/食欲の秋……

グッチがいなくなってから18日。やっとスムーズに時間が流れるようになった。泣くこともなくなり、かすかなグッチの気配に向かって、平気に声をかけられるようになった。
22日火曜日からは友人のカメラマンに我が家を撮影場所として提供したのだが、気軽に構えていたらナント!総勢5人の若者(+友人一名)が押し掛けてきて泊まり込むこととなり、私は撮影用のフードコーディネーター兼賄い婦としてコキつかわれるハメになった。
いやはや、育ち盛りの若者たちの食欲はスゴイ!の一言。大皿の刺身の盛り合わせ、大鍋の牛テールの煮込み、その他諸々のおかずとともにしじみご飯、追加で作った松茸ご飯をぺろりと8合も平らげてしまったのである。翌日の昼にはパスタを1.5kg!さらにペンネやサラダ付き。おかげで私もずいぶん食べて呑んだ。(あとかたずけはきれいさっぱりやってくれた)
木、金曜は掃除と洗濯に明け暮れ、昨日はあっちこっちへ移動された小物類の整理に追われた。今日になると手足は筋肉痛……ひどく疲れていることに気がついた。若者たちと同じように頑張った(頑張ろうとした?)成れの果てである。歳だ。。。
だけど、心はすっきり爽やかだ。ちゃっかり若者たちのエキスをいただいたせいだろうか?そして、これからまた彼らとの仕事が続くことになっている。撮影時の料理用のフードコーディネーターをやるのだが、節約のため撮影用料理と同時にまたまた大量の食事を作ることになる。どうするべ?・・・と思いながらも、今度はパエリアを作って食べさせよう!などと考えている私。まだまだ捨てたものではない……かもしれない。。。


●2002年10月29日(火)/グッチにゃんの埋葬

グッチが逝ってから20日、ひさしぶりに暖かく晴れわたった昼下がり、ほんのひと握りになったグッチの遺骨を埋葬した。私たちが毎日欠かさずに眺め、私たちの生活に一番近い針槐の根元の、そこだけは私が手作業で芝を整えるこんもり盛り上げたところに。そこは冬も芝の緑が残って、鳥たちが走り回って、遊びにくる子供たちの笑い声が響くいつも賑やかな場所。
お墓の上にはちいさな球根を植えた。初春に淡いピンクの花を咲かせるチオノドクサ。やさしいちいさなお花はグッチによく似合う。ふと気になって花言葉を調べてみると“雪の栄光”・・・21年近く生き抜いたグッチにはお似合いの花だったかもしれない。元気に逞しく育って、芝生の間から顔を覗かせてくれることが、毎年の春の楽しみになるだろう。
とは言え、やはり冷静ではいられるはずもなく、真っ白な遺骨のあまりにもの軽さにうろたえ、グッチがいないという現実が改めて目の前に突きつけられたようで、ひさびさに大泣き。あぁ、情けない。でも、21年の重みがたった20日で癒えるはずもない!と涙は流れるに任せ、埋葬を終えた。これからの日々、晴れた日に木陰で休憩したり読書をしたり、休日にランチを食べたり、星空や月夜やバーボンを楽しんだりするたくさんの昼と夜に、花の香りや陽ざしや風に溶け込んだグッチが触れてくれるようにと願いを込めながら。
あとおよそ2週間で35日になる。これまで通りご飯とお水と線香と、たまに好物だったパンを供えて、どこかで居眠りを貪っているかもしれないグッチをしっかり感じていよう。今度こそ、笑顔で見送れるように。。。


●2002年11月01日(金)/なにがあろうとドジはドジ

正直なところ、指先に残るあまりにもはかない骨の感触が忘れられず、かなり落ち込んだ。埋葬以来ずっと雨続きのせいでもあったのか、家事も仕事もやる気になれず、なにもかも放り出して読書に耽った。だけど集中できず、結局は寝てばかりいた。。。
今日は久々にカラリと秋晴れ。グッチを埋葬した辺りの芝生にたくさんの球根を植えつけ、針槐の幹周りの芝生の手入れをした。伸びすぎた芝を整えていたら、早くもサフランがたくさん芽を出していた。ちょこんと顔を出した新芽を傷つけないようにハサミで慎重に周りの芝を切り、それから芝の目土を入れた。
気がつくと・・・どわっ!ごめん!
慎重に残したサフランの新芽の上にどっかりと目土の袋が乗っていた。。。ぺしゃんこの新芽、うろたえる私・・・悲しかろうと楽しかろうと、ドジはとことんドジなのだと思い知った。それでもね、ま、いいや。命は、きっと強いもの! へこたれないサフランの開花を待つことにしましょ。
楽しみに待ってるんだぞ、グッチ。


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