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RITZの闘う猫車

登場する仲間たち


●3月6日(火) 曇 / 無中になると……
久しぶりに庭を歩くと、銀葉アカシアが黄色いボンボンのような花を満開に咲かせていた。沈丁花はまだ小さいのにたくさんの花をつけ、「わたしはここよ」とふくよかな香りで訪れる人を惹き付けている。雑草が昔からそこにいるように低く地面を覆い小さな花を咲かせ、合間からクロッカスの顔を覗かせている。それはそれで、見ていて美しいと思う。今年は年明けから二度も風邪で長く寝込んだせいで庭に出るのにちょっと臆病になっている。去年なら、今頃はたっぷり汗をかいていた頃なのに、なんとなく足が向かない。。
2月の下旬からずっと、以前から少しづつ作りためていた「すずめっ子クラブ」に手を染めている・・・いや、無中になっている。私が何かに無中になると、「たまには旨いものを食わしてくれ〜」とGONZOが嘆く。食事は菊の字任せになり、掃除も手抜きになる。グッチ婆さんだけが、ずっと側にいられるのを喜んでいる。可哀想なGONZO・・・と思うけれど、夢中になっているうちにそれもすぐに忘れてしまう。「すずめっ子クラブ」が完成したら・・・いやいや、庭が待っている。春先の作業を終えたら・・・やっぱり、可哀想なダンナ。


●3月10日(土) 曇 / ちいさな紳士
久々にのんびりできる休日、久々にパスタで楽しもうということになった。というのも、お隣から焼き立てのガーリックトーストの差し入れがあったから。頂き物のワインもある。今朝切ったばかりだという八重の椿も別の御近所からいただいて、テーブルの上に飾ってみた。もらいもの尽くしのランチ・・・その中でもなによりも嬉しかったのは、小さなレンゲの花一輪、いや、花一首……!?
今日、焼き立てのガーリックトーストを届けてくれたのは恥ずかしがり屋のファーブル君。焚火仲間で虫のことに詳しい(と信じているらしい)RITZさんにと、レンゲの、ホントに花だけをひとつ摘んで、パンに添えてくれたのだ。小さな紳士からの素敵なプレゼントだ。でも、哀しいかな、RITZさんは留守で、ファーブル君を迎えたのはヒゲ面のGONZO。深く首をうなだれて渡したのだとか…。早く庭に復帰して、一緒に遊んであげなくっちゃ。


●3月18日(日) 春日和 / すずめっ子クラブの反応は……
13日、ついに『すずめっ子クラブ』が完成した。14日にアップして、今日は掲示板を設置。カウンターは早くも100を越え、上々の滑り出し。これから広報活動をしなければならないというのに、ようやくの完成にちょいと気が抜け、庭仕事にハマっている。まぁ、いいさ。気長に大事に育てていこう!
ちいさな子供からお年寄りまで楽しんでもらいたいと思っているので、今日は試験的に近所の子供をご招待。ページを開いてみせていると、GONZO作のすずめのCGに小学生の子も幼稚園の子もわいわいと大喜び。。一番ちいさなまだヨチヨチ歩きの子まで、アウアウとちっちゃな顔をほころばせて喜んでくれた。これだけでも、作った甲斐があったと大満足!


●3月19日(月) 春日和 / ちょっと淋しい決断
庭中を這いずり回って除草作業に明け暮れること三日目。冬の間にすっかり体がナマってしまい、早くも筋肉痛と情けないことこの上ない。。そろそろ種まきの準備もしたいところだが、見回してみるとあっちもこっちも中途半端な出来栄えで、手を加えなければならないところも多い。発芽を見る楽しみは春一番の喜びなのだけど、今年はお預けにしよう。種まきを最小限に抑えて、まずは庭の修復と完成を目指そうと思う。。ちょっと淋しいけれど、庭造りもまた愉し。。
今日はなんとなく顔がヒリヒリする。そろそろ日焼け対策も考えておかなければ真っ黒くろすけだ……と、今頃になって思っている。毎年のことなのに、ついつい油断してしまった。。。


●3月20日(火) 春日和 / ウグイス初鳴き
昨日からハーブガーデンの雑草を取っているが、ハーブガーデンを占領しつつあるのは実は雑草ではなく、由緒正しきボックセージ、メキシカンセージ、メドゥーセージという顔ぶれだった。とくにボックセージははるか彼方への遠征を果たしていて、その上地下茎はやわらかくすぐに折れてしまい、花壇の半分以上を掘り起こしての作業となった。あぁ、腰が……。。
作業終了に近い夕暮れ、間近でウグイスの初鳴きを聞いた。今年は遅いなぁ。。どこかで練習してきた、あるいはベテランのウグイスなのか、とても上手で、去年のように作業の腰を折られることもなかった。ろすけだ……と、今頃になって思っている。毎年のことなのに、ついつい油断してしまった。。。


●3月21日(水) 薄曇り / かわいい訪問者
昨日大々的に掘り起こしたハーブガーデンを、今朝からたくさんのお客さんが訪ねてくれている。すずめ、ヒヨドリ、モズ、カラス。。掘り起こされて慌てているちいさな虫たちがいるのだろう。数日前に雑草を取り除いてきれいにしたドッグ・ローズの根元には、ちいさなお椀のような凹みがたくさんできている。どうやら、すずめたちが砂浴びをした痕のようだ。。庭はきれいになり、鳥たちは喜ぶ・・・今日も疲れた体を差し置いて、やる気がむくむくと起きてきた。


●4月11日(水) 薄曇り / 庭からの贈り物
冬の間に吹き溜まった落ち葉を整理したり、集めた落ち葉や木屑を焼いていて、なにがどうしたものやら吸い込みによる急性肺炎にかかってしまった。医者は煙を大量に吸い込んだのではないかと言っていた。すぐに処置をして、すぐに治った・・・と思っていたら菊の字がインフルエンザをどこからか仕込んできていて、これまた感染して肺炎がぶり返してしまった。世紀末から風邪、気管支炎と月一回のペースで寝込んでいる。痩せてはいるものの健康だけが取り柄だったことを思うと、「やっぱ歳なのかなぁ」などとつい弱気に愚痴をこぼしながら、ベッドの中でぐずぐず過ごすこと3週間、ようやく体調が戻ってきたようだ。
寝室兼仕事場の窓を開けると、満開のガマズミの香りが部屋をいっぱいに満たした。私の庭からの贈り物だ。ガマズミ、雪柳に桃の花、ちいさなモクレンやマグノリア……十数cmだった苗木達は風にもめげず、モグラにもめげず、私の手がなくてもそれなりに順調に育っている。風に頭を揺らしながら、頑張って!とエールを投げかけてくれているように見える。


●4月12日(木) 晴 / 春、本番へ
3月中旬頃の陽気がウソのように、毎年4月の始めから中旬にかけて寒い日が続く。その頃、長崎では桜が満開を迎える。そして、この寒さが去ると本格的な春がやってきて、あっという間に初夏にバトンタッチしていく。この短い時期が針槐の庭では一番目紛しく忙しい日々になるのだが……去年は左手の麻痺で何もできず、今年は肺炎とインフルエンザで出遅れた。窓の外に溢れる陽射しを眺めていると気ばかり焦ってしまうこの頃だが、「庭は逃げないのだ!」とでも考えることにしよう。風は、まだ冷たい。


●4月15日(日) 晴 / そろそろ
早くもすずめのヒナの保護の報告が入った。路上にまだまだ裸ん坊のヒナが落ちていたという。そろそろまた、そんな季節が始まったのだなぁ……とテラスでぼんやりしていると、なんと、巣もないはずのテントの下にちいさな卵がひとつ落ちて割れていた。改めて調べてみても、割れた卵の上に巣はない。いったい、どういうこと……?
このところすずめたちの巣づくりにはますます力が入ってきたようだ。GONZOと決してあきらめようとしないすずめたちの攻防戦がつづいている。なんとかあきらめて、安全な新天地を求めてくれるといいのだが。。。


●4月19日〜21日 / 沖縄旅行
6度めの沖縄の旅を大いに楽しむが、相変わらずのドジもちらほら。。帰ってくると、嬉しいニュースが待っていた。ついにすずめのヒナが孵ったとGONZOが言う。明日が楽しみ〜!


●4月22日(日) 晴 / 摺り足の生活
早朝からチッチチッチとヒナの輪唱で目を醒ました。庭のよう壁、ちょっと離れればのぞける高さの穴の中で、孵ったヒナが元気いっぱいに鳴いていて、フェンスの上にとまった親鳥は私たちを威嚇する。
コンクリートの壁にあるちいさな穴がすずめの巣。下のパイプが出入りをするのに便利なようで、いつもたくさんのすずめがとまっている。コンクリートの穴なので、庭中に鳴き声が響く。親鳥がしきりに餌を運び、私たちが庭をうろつくと警戒した声を出す。
午前中、近所の友人が訪ねてきているのにテラスで話声も聞こえず、のぞいてみるとGONZOと友人はなにやらヒソヒソ話。どうしたの?と聞くと、「大声で話すとヒナが怖がるから……」などと言う。嬉しくなってしまった。


●4月23日(月) 晴 / 幸せな休日
庭の壁には水抜きの穴がいくつかあって、そこでも子育てがはじまり、別の穴でもヒナが孵った。勝手口の近くなので、出入りの度に親すずめがけたたましく騒ぎ立てる。中には攻撃を仕掛けてくるすずめもいる。やむなく勝手口の手前にある倉庫の中でじっと身をひそめ、GONZOを呼び、二人して狭い倉庫の中でヒナの鳴き声に耳を澄ましてほくそ笑む。ちょんの字と出会って以来、大きな楽しみが増えた。しばらくはできるだけ裏口を使わないようにしなければ。。
昨夜は沖縄の泡盛を楽しんだ。肴は新潟の友人が送ってくれたこごみとの友人のお土産のウドのてんぷら、沖縄で友人にもらった愛媛、宇和島の蒲鉾、沖縄土産のじーまみ豆腐のサラダと海ぶどうの酢の物、お隣さんが目の前の海でとったモズク、そして仕上げは御飯と大阪の友人のお土産の海苔。「日本丸ごとってなメニューだねぇ」と家族三人、大いに話が弾んだ。話はやがてかつて育てたすずめたちの話題へ。ピオを育てている時、じつはとても触りたかった、ちょんの字の時のように一緒に遊びたかったのだとGONZOが白状した。触らなかったのは……彼なりにいろんなことを考えてのことだろう。


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