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RITZの闘う猫車

登場する仲間たち


●1月1日(月) 晴/初謡“屠蘇がない〜♪”
21世紀初めてのお正月、おせち料理は弟夫婦が運んできたので楽ちんなお正月。大好物の数の子だけは!と、かつお出汁の他に唐辛子味噌で漬け込んでおいたものが頬も緩むほどにバリ旨、煮物もふっくら上出来、菊の字の煮豆も甘さ控えめで美味しい、サラダも手製の和風ドレッシングでばっちり。そそくさと21世紀初めての宴の準備。なのに・・・なにかが足りない・・・なんだろ・・・と思っていたら、「ぎぇ〜、お正月の一番の愉しみの屠蘇がない〜〜〜!」
「そ〜んなにがっかりしなくても〜」と家族一同に笑われながら、♪け〜れ〜ど〜も、問題は、今日の酒、屠蘇がない〜♪などとついには歌まで飛び出して、ちょっぴりトホホでやっぱりワハハな新世紀の始まりであった。今年はクールに行こうと思ってたのにな……


●1月2日(火) 晴/喉の秘密…!?
刺し身の図「足りないと困るから、どうしても仕入れ過ぎてしまう」と、突然魚を手に訪ねてくるのは近くでペンションを経営する友人。極上の刺身、山盛りの鯛のアラなど、この時期に押し寄せる客の嬉しいおこぼれが我が家にまわってくるのだ。彼は台所に直行し、素早い手つきで刺身を切ってくれる。西海橋が近く魚の旨さが評判の地域ではあるが、漁師さんと直接契約してるだけに、どこよりも新鮮でぷりぷりと歯ごたえも満点の美味しさだ。食事の遅い我が家にとってはいつもナイスなタイミングで、旨い!さすが!とビールや焼酎片手に食らいつく夫婦を眺め、友人はお茶も飲まずに満足げに帰っていく。
いつだったか、我が家で一緒に飲んだ時に「おかみさん(彼はRITZをこう呼ぶ)の嬉しそうな顔を見てるとついつい餌を運んでしまう」と笑っていた。似たようなセリフをよく聞く。バーボンとビーフジャーキーを運んでくる隣人、材料を運び込んで料理を作りにやってくる友人、そしていつも酒を隣に食べるだけの針槐の住人。ニコニコと大口を開けていれば誰かが餌を入れてくれる、これはひとつの才能なのかもしれない。鳥の親たちは大きく嘴を開いたヒナの喉の色に刺激されて餌を運ぶというが、私の喉にも人を刺激して餌を運ばせる何かがあるのかもしれないね…などと、バカな話を肴に今日もたっぷり呑んだ。。。


●1月4日(木) 晴/欲張りランチ
ひさしぶりに車を飛ばして新年のドライブ。行き先は西海橋の傍にに新しくできた「魚々(とと)市場」。温泉宿泊施設と新鮮な魚の市場、土産物屋、レストランがずらり。しかし、すごい人混みに辟易して、さらにドライブ。海沿いの屋台では生牡蠣が売ってあり、食いしん坊夫婦は明日のランチ(焼き牡蠣)の相談。「白ワインは切れてるぞ」「やっぱ日本酒でしょう」と帰りの買い物を楽しみにさらにドライブ。
ここが噂のハーブ・レストランか!と、新しくできたらしいレストランをみつけて入ってみたが、勘違い。メニューを眺めて、腹ぺこ夫婦が選んだのはその名も「欲張りランチ」・・・1980円だもの、食えるでしょ!サラダと焼き立てパンに香ばしく焼いたムール貝、海老、サーモンと続きひと心地。そこへ出てきたのはデーンとでっかいステーキ。思わず目を見合わせ(食えるかな〜?)(ふむ〜!?)。
欲張りランチを平らげた痩せっぽっち夫婦は下を向かないように家路を辿った。「ワインがあったら結構平気な量かもねぇ」と運転の為ワインを我慢した妻。「ワインがあっっても満腹だぞぉ」とワインを控えめにした夫。明日のお楽しみの牡蠣はすでに見たくもないものと化していた。


●1月6日(土) 晴/貧乏性
昨日は昼からパスタとワインを楽しみ、今日はピザとビールで舌鼓。本を読んでうとうとして、テレビを観たり、ビデオを観たり・・・こんな暮らしは長くは続かない。気が付くとGONZOは仕事をしており、RITZは帳簿整理をしていた。


●1月9日(火) 雨/やる気を削ぐもの
やる気を削ぐもの……この季節なら雨、寒さ、風、風邪といろいろあるが、歯医者のあのかん高い機械音ほどやる気を削がれるものがあるだろうか。せっかくるんるんとやる気を出していた新年の日々だったのに、予約していた歯医者に行ってからというもの、がっくりと肩が落Q芽ちたような気分。。時間ができたてからしますと言っておいた歯をいきなり削られたのだもの。。。「そこは…」と言うにも口の中にはすでに先生の指や何やらが入っていて、あがが…と呻いているうちにガ〜リガリガリ。おまけに金槌(!?) でガンガン、しかも麻酔の注射まで…。心の準備がまるでできていなかったので、心臓バクバク、アゴがアワワと震えてしまった。とほほ。。
身体の注射は平気だけど、歯茎の注射は嫌いだぁ!しかも前歯・・・6万円ですとぉ…!!!今月はお小遣いも無しだ。。。とほほほほ


●1月10日(水) 雨のち曇/つらつらと物思い
GONZOがお年玉に描いてくれた可愛いちびっ子雀やグッチ婆さんのイラストを見ていて「登場する仲間たち」に使おうと思い立った。ついでに、新世紀の記念に…とプロフィールのページも作ってみた。だけど、あまり書く材料がない。あれこれ考えていると、田舎暮しの中で時間の観念がとてもいい加減になっていることに気づく。脳味噌もいい加減になっているのでは…と不安になったりもしたが、ま、それだけのんびり暮らしていられるということなのだろう。。
自分の仕事をやめてから丸八年、島原で菊の字と二人で暮らした三年間、ここに越してきてから早くも五年が過ぎた。長い無沙汰をしているのに、年賀もろくに書かないというのに、今年もたくさんの年賀状が福岡の友人たちから届いている。そろそろ、久しぶりにいろんな人に会ってみようかな…などと思う。「田舎暮しなんて似合わないって」「すぐに帰ってくるんじゃないの?」などと心配していた連中に、この見事に日焼けした顔や手を、しっかり筋肉の付いた腕を見せてやろうかな。。。


●1月14日(日) ちょっと雪/初めての雪
目が覚めたらうっすらと雪が積もっていた。この辺りでは珍しい雪になんだか心が弾む。歯を磨きながら外の景色を眺めていると、おタキさんがテラスに飛んできて、ちょこまか飛び回っている。どう見ても遊んでいるように見える。テラスの雪の上には小さな足跡がいっぱい。鳥たちも雪は嬉しいんだろうか…?思わず外に出て目を凝らして見たが、やはり片足の足跡などわからなかった。。
ピオには初めての冬。初めて見る雪を、アイツはどこで、どんな思いで見ているのだろうか?細い首を思いきり伸ばしたあの剽軽な様子で、空から降りてくる雪を見上げるているのかもしれない。小さな足はどんな風に雪を感じるのだろうか?身体を寄せあって暖め合う仲間はできたのだろうか?尾羽はちゃんと生え揃っただろうか?飛び立ってからやがて半年。元気に生きているのか、いないのか、なんとかして知る方法はないものか…。ピオにちょんの字、無事でいますように!


●1月15日(月) ど〜んと雪/やせ我慢……!?
長崎市では34年ぶりの大雪だとか。暖かいここ川棚でも5cmは積もった。北国に比べるとお粗末なものなのだろうが、貴重な雪の日。辺り一面の銀世界、踊るようにふわふわと視界を覆い尽くす雪、雪のベールの向こうに静かに揺らめく海、やはり眼を奪われてしまう。
 ・・・とロマンチックな気分に浸っていると、菊の字の声。「寒かね〜。ほら、これ着ときなさい」暖かそうなズボン下の登場である。。……でも、いくら寒くてもねぇ……でも、暖かそう……。心の中で葛藤するRITZに菊の字のさらなる一言「猿股はくと暖かかよ〜」
・・・サルマタ・・・!!
菊の字の一言で暖かそ〜な手触りのソレは禁断の衣類となった。いやいや、サルマタはいけません。ズボン下と呼ばれていたら?いえいえ、まだ女を捨てた訳じゃない!・・・などと心揺れ動く微妙なお年頃のRITZに、今度はGONZOが「モモヒキって言えばいいのになぁ」ですと。。結局、重ね着に重ね着を重ね、ダルマのように過ごした。
常日頃暖かい我が家には冷暖房設備がなく、年代物(ボロ!)の灯油ストーブが三つ、近くしか暖まらない電気ストーブが二つしかない。家の半分以上が吹き抜け状態の我が家は、この寒さの中でまさに冷蔵庫と化していた。この状況の中では、正直なところ、菊の字のソレは強烈な誘惑の魔の手であった。いずれにしても菊の字のソレは、RITZがはくと長めの半ズボンになるのだが。。。


●1月17日(水) 曇/つらら
昨日は寒さが和らいで、雪はほとんど溶けてしまった。けど、今日はまた寒い。出かける時にふと見たら・・・オリーブにつららがたくさん下がっていた。これは!とQ芽カメラを取りに走ったが電池切れ。つららなんて珍しいのにな。。おっと、オリーブは大丈夫なのだろうか?
ドライブの途中では、背中に雪を積んだ子カラスをみつけた。なにしてたんだろ…!? 九州では珍しいこの寒さ、外で暮らす生き物たちは大変だ。庭のハーブや小さな木たち、小鳥たち、ピオにちょんの字、気になることばかり・・・とストーブにかじり付いて自分だけぬくぬくしているRITZであった。


●1月31日(水) 雨/我が身はシーツと成り果てて……
風邪から気管支炎をこじらせてダウン。新世紀の始まりの一ヶ月の半分をベッドの上で、取り替えられないくしゃくしゃのシーツの気分で過ごす。ハァ〜、不覚!!!


●2月1日(木) 雨 / エビ・えび・海老……
1月中旬から気管支炎をこじらせ、寝たきり老人見習いのような日々が続いた。五年ぶり二度めの風邪は、唯一の取り柄「健康」とそれに附随する秘かなプライドまでズタズタにして、ようやく去りつつある。ベッドでの生活にはホトホト飽きてしまった(と言いつつ、13冊もの本を楽しんでいたのは誰だ!?)でも、最後まで食欲だけは衰えを見せなかったところが恐ろしい。痩せることはなかった。
久々に日記でも書こうと思い、ふっと思い付くのはエビ、えび、海老。何故だか海老、やっぱり海老。。。どうしてこんなことになったのか一一その答えは菊の字の頭の中にあるから覗けないのだが、“みのもんた教”の秘儀なのかもしれないと睨んでいる。。寝込んでいる間の10日ほど、何故か、海老攻めに遭ってしまった。塩焼き、炒め物を始め食卓のあちこちに海老。。そして、海老雑炊、海老天うどん、海老のつみれ、スープに海老、サラダに海老、お粥にも海老が…。ついに「海老はやめてくれー!」とGONZOと二人叫んだ後も、「海老焼こか?」とさり気ない笑顔…。
昨日は久々に起きて、夕食の用意でもしてみるかとついでに冷凍庫を覗いてみたら一一海老がごっそり。泡を吹く前にスタコラサッサとベッドに逃げ戻った。寝込んでも食べさせてもらえるだけ有難いけれど、海老は当分見たくもない。夢にまで出てきそうだ。ゾッ。。。

●2月3日(土) 雨 / ウフフなお見舞い
今日、はす向いのの奥さんから夕食のおかずの差し入れと一緒に可愛いお見舞いが届いた。画用紙を反折りにしたもので、開いてみると隣のちいさなレディーが描いたお見舞い一一姉弟三人とRITZが焚火を囲んでいる可愛い立体の絵一一と「早くよくなってね」というコメント。もう一枚には色鉛筆を握り始めたばかりのおチビちゃんからの抽象画…!?。ファーブル君も一生懸命描いていたそうだが、恥ずかしがって渡せないとのことだった。毎日外を見ては「まだいないよ〜」と繰り返しているそうである。。
風邪で寝込んでいる間、ゴミを出してくれたり、お買い物をしてくれたり、お惣菜を分けてくれたりと至れり尽せりの若い奥さん。御主人はお医者様で「外科ですけど、緊急の時にはいつでも呼んでくださいね」と仰ってくれる。そしておタキさんよりも付いてまわるようになった可愛い子供達。優しい御近所に恵まれて、つくづくウフフな一日であった。


●2月4日(日) 雨 / ジュ〜リ〜〜〜♪
昨夜、テレビで久しぶりに沢田研二のショーを観た。初めてブラウン管に私を釘付けにしたジュリーデある。懐かしいねぇ、やっぱり歳をとったねなどと話しながら観ていたのだが、ふと見ると、菊の字がまるでかぶりつきでテレビを観ていた。私たち夫婦にはしっかりと背中を向けて、無言で箸と茶碗を持ったまま・・・。
いつも食事を終えると、のんびり晩酌を楽しむ夫婦を残して「お先に〜」と二階の自室へ戻るのだが、昨日ばかりは「これ、何チャンネル?」と確認し、いそいそ軽やかに階段を上っていった。かつて長谷川一夫(?)、大川橋蔵(?)のプロマイドを集めていたと聞いたことはあったけれど、新発見!菊の字はジュリーのファンなのだ!結構、面食いだったんだなぁ…と思いつつ懐かしい父の顔を思い出し・・・プッと吹き出すRITZであった。。。


●2月6日(火) 小春日和 / 近眼
正月以来放りっぱなしにしていたテラスの正月飾りの活け込みに、南天や千両の実が目当てなのだろう、日ごといろんな鳥がやってくるようになっていた。モズ、ヒヨドリ、おタキさん。そしてついに最後の実がなくなり、菊の字が撤去した。竹や松が枯Q芽れ込んで見苦しいものになってはいたが、なくなるとなんとなく淋しいものだ。熱がちゃんと下がったら、また、実つきのものを活けてみよう。
いつの間にやら再びテラスを占拠し始めたスズメたちもあまり逃げない。毎朝、歯を磨きながら座り込んでじっとしていると、ガラス越し50cmほどの距離で遊ぶこともある。すわ、ピオかちょんの字かと身を乗り出したいところを我慢して、じっと動かない。眼が悪い癖に裸眼で暮らす習性になってしまっているので、いざという時にはメガネもかけていないし、コンタクトレンズも入れていないのだ。。。眼が良ければなぁ…と、こんな時にはしみじみと思う。


●2月9日(火) 晴 / 未練の夕暮れ
陽射しが暖かく、ちょろりと庭に出てみると風はやはりまだ冷たいものの、家の中では窓を開け放って過ごせる陽気。このところ寝てばかりであまり動いてなかったし、水やり不足で屋内の植物たちも瀕死の状態。今日は久々に家中の鉢物にシャワーを浴びせることにした。
まずは洋ラン。よく生きていられたものだと感心してしまうほど、水苔は底までカリカリに乾いていた。にも関わらず胡蝶蘭はにょきにょきと花茎を伸ばし、黄花胡蝶蘭はふっくらと蕾を膨らませて咲き始めている。この時期には水が必要なのに…と反省しつつ、大きなタライでたっぷりと水を吸わせ、葉っぱを丁寧に洗った。手抜きに強い折鶴蘭も、元気すぎて無視されがちだが、今日は枯れた葉を取りきれいになった。
お次は大きめの鉢物のシャワータイム。葉裏までざぶざぶシャワー、生き生きして見えた(だけ?)。大きく育ってきたが痩せっぽっちのパパイヤ、菊の字の手から救出して茂りに茂った観音竹、園芸店でレスキューした2鉢100円のドラセナ、コンキンナもコンパクタも生き延びてそれぞれ元気に育っている。今では立派に観賞用植物としての威厳さえ見えるようになった。
2鉢100円一一じつは「300円でいいよ」と言われたもの。運良く財布の中には一万円札と百円玉一個しかなく、強運にもお店にはおつりがなかったのだった。さらに「エーッ、これ捨てるんですかっ!」と厚かましくも古植木鉢2個もタダでゲット。こちらも割れずに現役でいる。
 全部が種や小さな苗から育てたものだから、手入れをしていると愛おしく、五年の月日の手応えを感じる。哀れなのは初冬に作ったいろいろ盆栽5鉢。風邪で面倒を見られないうちに立ち枯れ状態が2鉢、かつがつ生き延びたのが3鉢。。土が少ないだけに、可哀想なことをしてしまった。。。でも、まだ生きてるかも……と水やりを続ける、未練、未練の夕暮れであった。


●2月11日(日) 晴 / 春の香りはほろ苦く……
昨日、荒れ地をうろついていた菊の字が山盛りのフキノトウを抱えて帰ってきた。早くも蕾を開かせようとしているものもあると言う。いつの間にか、春はすぐそこまでやってきているのか…。スーパーの野菜のコーナーにもタラの芽や山ウドが並んでいた。思わず買い込んで、サラダやテンプラと山菜独特のほろ苦さを肴に晩酌を楽しんだ。が、美味しいものはちょこっと楽しむに限る。朝起きると口の中がえぐい。山菜のアクで舌が真っ黒に染まっていた。涙。。。


●2月18日(日) 晴 / 宿酔に御用心
昨夜はお隣での御近所パーティーで久々の酒宴。久々の美酒、ご馳走に心奪われ、豪快な呑みっぷりを披露したもので、今日はなんだか宿酔気分。夕食は買い物をサボって冷凍庫の食品処分に乗り出した。「おぉ、使い残しの鶏軟骨の空揚げがある!」と解凍を待って油の中にポイポイポイ・・・即座に溶けてちゅるちゅる!? ばちばち!?・・・なんで!? どーして!?・・・慌てるRITZの鼻にはプーンと香ばしい・・・いやいや、早くも焦げ臭い匂いが・・・お前は何者ぢゃ〜〜〜!?!?
迂闊にも、RITZが揚げたのは決して“鶏軟骨の空揚げ”などではなく、冷凍した“パルミジャーノ・レジャーノ・チーズ”だった。。。いただきもののゴージャスなチーズの塊を冷凍庫に入れたのは、そぅ、そんなに昔のことではなかったのに。。“鶏軟骨の空揚げ”なんてとうの昔に食べていたはずなのに。。憐れ、パルミジャーノ・レジャーノはブクブクのてんかすごときに成り果て、生ゴミ乾燥機へと消えていった。部屋中にキナ臭い、イヤ〜な匂いとGONZO親子の含み笑いを残して…………


●2月19日(月) 春日和 / 九電と台風とカチガラス
白黒のカチガラス仕事で佐賀経由福岡へ。佐賀の広域農道を車で走っていると、いつにも増してたくさんのカチガラスを見かけた。白黒でカラスよりもずいぶん小さく、カチカチと鳴くことからこの辺りでは「カチガラス」と呼ばれている。佐賀の県鳥であり天然記念物にも指定されている「かささぎ」のことだ。この頃は長崎や福岡でもよく見かけるようになった。
カチガラスの巣.開発が続いて住処が少なくなったせいだろうが、もともとは高い木の上に巣作りをする鳥が今では電柱を利用する。多い時には30分走って20を越える巣を見つけたこともある。私にとっては佐賀の広域農道を走る時の楽しみのひとつなのだが、九州電力は巣の撤去に余念がないと聞く。困ったものですよ〜と恨めしげに語る人もいる。注意して見ていると、道路脇の電柱の上に今年もいくつかの巣を発見。九電が巣を取り払ったあとなのか、今年は数が少ない。
あんなところに…と驚くほど低いところに作られた巣もあった。農家の方から、昔はカチガラスの巣の高さで台風を予測したという話を聞いたことがある。なんでもカチガラスはその年の台風を予測するそうで、台風がひどくない年には樹上高く巣を作り、ひどい年には低いところに巣作りをするそうだ。今年はひどい台風が来るのかもしれない。九電はカチガラスと台風を追うことになる。追いつ追われつの巣作り・・・これが現代の自然なのだろうか。。。


●2月21日(水) 曇 / 追いつ追われつの巣作り
思えば、追いつ追われつの巣作りは我が家の状況でもあった。すっかり諦めてしまったかと思っていたスズメたちが続々とテラスに戻ってきている。巣の残骸をきれいに取り除いた巻き込んだテントの奥に、今年もパラダイスを作ろうという目論見なのだ。しばらくは安心して掃除をサボっていたGONZOがテントの開閉を再開し、「オレを睨みやがる…」と呟いていた。
寒さと雨をしのげるテントの奥は確かに住み心地も良いのかもしれない。でも、強い風が吹く度に落ちている卵、雨上がりのテラスで冷たくなっている裸ん坊のヒナ。巣の下に吹き寄せられて積もる巣材や糞の山は気にはならないが、そこにはムカデや蛇が潜むことになり掃除は欠かせない。でも、掃除をしてしまうと、巣材のクッションで助かる筈の落巣ヒナは死んでしまうか、あるいはディーディーのようになってしまう。。。
やっぱり追っ払うしかないね・・・と、悲しく意見は一致した。


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