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RITZの闘う猫車

登場する仲間たち


●3月2日(木) 晴/えらいこっちゃ〜!>ミントとモグラの恐怖再び
 2月末から春日和続きで、たまる一方の仕事と期限を見ない振りして庭へ走ってしまう。仕事も大事だが、今は庭が大ピンチ!ついに“幼い木たちの庭”までモグラ軍勢が入り込んで来たのだ。。ここ数日、果てしないモグラ軍勢との闘いが続いている。。
 あぁ、それなのに、それなのに、今日はミントがいるはずのない場所にミントの群れを発見。。以前地植えにしていたミントが、三年がかりで秋にはすっかり撲滅してしまったと信じ込んでいたアップルミントが、延々1m以上も地下茎をはり巡らして、もみじの根元から、ツツジのど真ん中から、高畝にした花壇の中からまで顔を出していた。にっこり、青々と…。。。私が愚かだった。ミントの生命力を侮り過ぎていた。
 1週間で庭中の除草と整理が終えて種まき準備に入る予定だったが、明日からはスケジュールを大幅に変更。まずはミント再撲滅作戦とモグラ撃退作戦。。どちらを先にやるべきか……。。


●3月3日(金) 曇のち雨/赤ちゃんヤモリの思い出
 今日はひな祭り。なのに、掲示板は何故かモグラ、カラス、リス、ヤモリなんぞで盛り上がっている!? で、ふっと思い出したのがヤモリの赤ちゃん。今頃元気に暮らしているのか、いつぞや姪が座布団で煎餅にしていたのがあの子ではあるまいか、気になり出したらきりがなく、思い出話でも書いてみる事にした。
 もぅ三年前のこと、体長5cmにも満たないヤモリの赤チゃんがガラスにへばりついていた。ジッと静かに眺めていると、徐々に、徐々に、ヤモリの赤ちゃんは床の上の私の指先に来た。まだ透き通るような身体、ちっちゃな砂粒のような吸盤、真っ黒く愛らしい目。。そのあまりの愛くるしさに負けて、私は反対の手の指でそっとヤモリの赤ちゃんの背中を撫でた。
 突然、ギャッという鳴き声と共に赤ちゃんは逃げ出したのだが、ぐるっと小さくひと回りしてまた私の指先に戻って来てどきどきしている。もぅ一回だけ。戻ってきた。あと一回。戻ってきた。。小さな心臓が破裂するといけないので、そのままジッとしていたら、ヤモリの赤ちゃんもジッと動かない。。怖かったのだと思う。結局1時間近く、じっと動かずに眺めるだけの幸せな時間を過ごした。以来、ヤモリと聞くだけで、私の顔はでれでれに緩むようになった。


●3月7日(火) 晴/雑菌と上手くつきあう方法
 暖かい日が続いて、種まき、植え替え、花壇作りとみんな春に目覚めたのだろう。腐葉土に関する質問が殺到している。いくつか抗議の投書などもあり、内心、余計な空騒ぎを巻き起こしているのでは…と迷う事もあった。でも、やはり知らないよりは知っていた方が良いという結論に達した。いろんな菌と上手くつきあっていくには、いろんな菌のことを知るのが一番だと思う。備えあれば憂いなしだ!
 今回の腐葉土騒動をきっかけに琉球大学の先生と何度かお話したが、「業者からの抗議の電話ばかりで辟易していた。あなた方のようにきちんと対応して下さる方が増えてくれると嬉しいが…」と言っておられた。私としても、ただ危いと騒いだり、危険だからと腐葉土を使わないのではなく、きちんと理解して対応して、安全にガーデニングを楽しんでいただきたいと願う。


●3月8日(水) 晴/春になると…
 家の中にいると暑いほどで、今日はTシャツ一枚で過ごしている。外は北風が強く、風はまだまだ冷たいけれど、近くの桜の木は早くも花を咲かせ始め、小さな桃の木も蕾をふくらませている。沈丁花はすっかり開花して、遠くまでふくよかな香りを漂わせ始めた。じきに暖かい春がやって来る。
 待ち遠しかった春ではあるが、春になればおタキさんが渡って行ってしまう。春になれば海に沈む夕日が見られなくなってしまう。落巣ヒナの心配も始まるし、なんとなく、冬将軍に長居してもらいたい気もして来る。。そして、確定申告の期限はあと一週間になった。。。というわけで、日記はしばらくお休み。。


●3月10日(水) 晴/「ホー、ホー、ホー、ホヘーーー」
 この春もまた大いに楽しませてくれそうな新米ウグイスの初鳴きである。思えば毎年、様々な個性で私の腰を砕けさせてくれる。毎年、「ホー、ホケピョン」「ホー、ホケホケホケッ」と朝の熱心だがいただけない練習が気になって、この時期には早起きになる。ちっちゃなメジロもたくさん見かけるようになったし、幼い木たちの庭で何か(?)をついばんでいるすずめたちはあまり逃げない。。この中にちょんの字がいるかも…と思うだけで笑みがこぼれる。
 陽射しの誘惑と鳥たちの誘いに乗って、デジカメ片手に颯爽と庭へ。今日も陽射しが心地良い。じっくり見て回るとクロッカスにムスカリ、ビオラ、消えたと思っていたスウィートバイオレットが元気に咲いていた。銀葉ミモザは六部咲きで、斑入り沈丁花が半ば咲いていた。緑葉の沈丁花も開花間近だろう。どちらも少し大きくなって、花もたくさん付いて、素晴らしい香りだ。
 明日辺りから雨らしいので、ミントとモグラとの闘いは後回しにして、午後は雑草に埋もれた花菖蒲のレスキューを続行。花菖蒲の枯れた葉っぱを目印に雑草を抜いていくと、多分濃い紫の花菖蒲がたくさん芽吹いていた。今日もおタキさんがエルダーの枝から私の作業を見守り、しばらくするとすぐ近くに降りてきて餌をついばむ。ぷくぷく太って、胸のオレンジが濃くなったような気がした。いつか、カメラに収めたいものだ。
 芝生に今年最初の施肥をして、今日の作業は終了。ネットの世界を覗くと、「今日はどこに行ってたの?」とメールが入っていた。。新米ウグイスの鳴き声にも似た、可愛いメッセージだった。幸せな一日。。


●3月13日(月) 快晴/ぎりぎりセーフで申告終了
 じたばたと逃げ回りながらも、なんとか確定申告終了。これで思い切り庭仕事!と張り切っていた矢先、申告よりもさらに深刻な仕事が舞い込んできた。またしばらくは退屈で面白くもない単純作業に追われる。当分の間、雨が降り続く事を願う。さもなくば、私はどこに逃げてしまうやら…。。


●3月15日(水) 曇/マックの反乱
 ずっと不調続きではあったのだが、昨日からパワーマックが突如としてフリーズの嵐に巻き込まれている。あの手この手と尽くしてみるが、いっこうに回復の兆しは見えない。はたして仕事は間に合うのか。。種まきはいつできるのだろう。。何も知らないおタキさんが窓辺でしきりに呼んでいる。


●3月16日(木) 曇/霧の中
 昨夜は春の嵐が吹き荒れた。今朝になって雨は上がったものの、濃い霧が辺りを覆い隠し、海さえもあるかないか定かでない。家人は出かけてしまい、家の中に独りと一匹。霞んで見えるテラスではすずめたちが水浴びをしたり、餌を突ついたり。庭のテーブルの上にはおタキさんのシルエットと胸のオレンジ色がぼんやりと透けて見える。なんだか世界がすっかり消え去って、私と猫と、無邪気な鳥たちだけが存在しているような、ちょっとミステリアスな想像をして楽しむ。


●3月21日(火) 晴のち曇/愛おしい左手!頼もしい右手!
 先週あたりから親指がグイグイ動くようになったと思っていたら、今日は麻痺していた左手首が、ついに自力で動いた!神経の麻痺のせいでだらりと垂れ下がったままだったのに、持ち上げることができる。慌てて病院に飛んでいくと、担当の若いドクターも看護婦さん達も大喜びしてくれた。あしかけ4ヶ月に及んだ毎日の注射からも今日で解放された。黒ずんだ注射の痕ともおサラバだ。あとは薬と自宅でのリハビリだけ。
 動く!と言っても、まだ盃一つも持ち上げられない有り様だが、動き始めてからの回復は早いという話だ。諦めかけていた種まきもできる。汚れまくった台所も磨いて、曇ったままのガラスも磨ける。パスタも自分でこねられる。庭造りの再開はいつ頃だろうと、気がはやる。でも、まずはじっくりリハビリ開始だ。。
 たった4ヶ月の間に、左腕は棒のように細くなった。右側は反対にずいぶん逞しくなった。共に自分のものなのに、別人の腕のように見える。でも、この怪我のおかげでいろんなことを考えることができた。当たり前と思っていた健康の大事さ、使えて当然と思っていた身体の大切さ、失ってみなければ気付かない動けることの有り難さ。これからはもっともっと自分の身体を大事にしてあげようと思う。もっともっと、みんなが自分の身体を大事にしてくれるように願おうと思う。え去って、私と猫と、無邪気な鳥たちだけが存在しているような、ちょっとミステリアスな想像をして楽しむ。


●3月25日(土) 晴/満開の桜発見!!
 窯入れ見物に、一升瓶を引っさげて波佐見の炎龍窯へ。久々の会話も弾むうち、飲み放題の宴会となった。釣り師で料理人でもある炎龍氏、自前の鮎の陶板焼きを自前の器に盛りつける。器も良し、肴も良し、酒は石川県の天狗舞山廃の純米。道中見つけた満開の桜、アトリエに飾った枝ごとの木蓮、春休みで遊びに来ている私の姪っ子までも肴に加えて、一足早い花見気分を味わった。


●3月26日(日) 晴/4月になれば…
 この一、二週間で幼い落葉の木たちが一斉に芽吹き始めた。枝垂れ柳は淡い緑に霞み、こでまりや山帽子、姫しゃら、えごの木がたくさん新芽を開いている。ミモザは満開で可愛い黄色のぼんぼんを風に揺らし、沈丁花が名残りの香りを振りまいている。根元ではムスカリ、花にら、ビオラが小さいながらも自信満々、フリージアも間もなくだろう。でも、北風はまだ冷たくて、針槐はまだ目覚めないようだ。
 4月になれば、庭はずいぶん賑やかになるだろう。さして手入れもできなかったのに、幼い木たちは自力で成長するようになった。そろそろ木たちの身体測定の時期。今年はどんな風に楽しませてくれるのだろう…と、ひとつひとつに触れて歩く私の後ろをおタキさんが追ってくる。おタキさんとはそろそろお別れ。今のうちに、たらふく食べさせておかなければ。。


●3月28日(火) 嵐/人生とはままならぬもの…
 昨日、溜りに溜った仕事をやっと終えて、さぁ明日からは庭に出るぞ!と張り切っていたのに、昨夜遅くから猛烈な風、雷雨に稲妻。一夜明けても風雨は強くなるばかり。ならばサイトの更新でもしようかとお気楽な気分のところにダンナの一言、「○○は終わったの?」と…。。しっかり忘れ去っていた重要なお仕事が見つかった。春の嵐、暖かい陽射の誘惑がないように、もうしばらく吹き荒れておくれ!などと思う。


●3月31日(金) 曇りのち雨/春はここにいる!
 暴風雨と仕事でしばらく缶詰状態になっていた。今日、久しぶりに庭を歩いてみると固かった桃の蕾がほころびかけているばかりか、二年間で20cmから60cmに育っていたマグノリア“ピンクレディー”が七つばかりも花を付けていた。“ピンクレディー”は木蓮と辛夷の交配種、うっすらとピンクがかった花を咲かせるということだったが、ほとんど白一色。でも、淑やかで美しい。。初めての開花でもあるし、ちいさな株はモグラにやられてばかりで心配だったので、ことさらに嬉しい。。春はここにいるんだ〜と、叫びたくなった。


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