ジャン・バークの立ち読み


BONES 本棚に戻る
最初の数行 最後の数行
旅に出てからというもの、じっと見つめられているという感覚は常時つきまとって離れなかったが、今、あらためてわたしはそれを感じた。ペーパーバックに神経を集中しようとするが、無駄な努力だ。ページから目を上げ、三列前にいる囚人に目を向ける。あの男がまた、こちらを見ているのではないか? だが、彼は眠っていた。プロペラのすさまじい回転音を聞きながらどうして眠れたのか、わたしには理解の外だ。よくも眠っていられるものだと思うが、これが良心のかけらもない人間の強みだろうか?
パリッシュでないとすれば、わたしを見ているのはだれなのか?
キャビンの中をそっと見まわしてみる。男たちのほとんどは一一こちらは至って正常な人々だが一一やはり眠っていた。パリッシュを見張る護衛警官のうち、二人は起きているが、わたしを見てはいない。あとの二人は眠っている。同行の法廷人類学者二人のうち、ベン・シェリダンは窓の外を眺めていた。通路を挟んで反対側の席に座っているデイヴィッド・ナイルズハ読書の最中だ。となると、こちらを見ているのは、その隣の乗客ということになる。
ベンがデイヴィッドのピックアップトラックのほうが自分の用途には合っているというので、フランクと私で彼のジープを買い取ることにした。かなり大きいので、私たち二人と犬二頭、キャンプ用具まで積んでも大丈夫だ。
キャンプはフランクと二人だけで行くこともあるが、ピートやレイチェル、トム・キャシディやほかの友人が一緒のときもある。山へ行くときは、 J・Cやアンディー、ジャック、スティンガー、トラヴィスが一緒のことが多い。ベンもSARチームで知り合ったガールフレンドのアンナを連れて、よく参加する。私たちはすぐにアンナが好きになり、彼女のほうも、私たちの騒々しいキャンプ・スタイルに難なく溶け込んでしまった。アンナも犬を二頭飼っている。スティンガー・ダルトンと六頭のやかましい大型犬が一緒のときは、いつも大混乱だ。
先導役はやはりビングルが務めている。よく吠えるのも相変わらずだ。
私も今はテントの入り口を開けたままで寝る。
だが、私たちはみんな、朝までぐっすり寝る。