■死ぬかと思った ■罠にはまった ■胸にこたえた ■腹がよじれた ■寝るかと思った

薬丸 岳の書庫


トップセラー

ダンナがなにやら騒いでいたので読んでみた。一晩で読み上げ、翌日はダンナと二人で騒いでしまった。デビュー作でいきなり江戸川乱歩賞受賞とは、次へのプレッシャーが大きいんだろうなぁ〜と夫婦して心配しているが、同時にワクワクするほど楽しみでもある。薬丸 岳氏の今後の活躍を大いに期待しながら、次回作を待ちたい。 /9.Jan.2006

涙を飲んで選ぶオススメの一冊
天使のナイフ

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天使のナイフ
講談社/初版8.Aug.2005/第51回江戸川乱歩賞受賞作
ブックマーク

娘が眠るベビーベッドに覆い被さるようにして息絶えた妻。逃れられない柵の中で、流れ落ちる母の血に染まりながら、その小さな瞳で母の断末魔を見上げていた生後五ヶ月の娘。ようやく「犯人が捕まりました」と伝える刑事の口から続く言葉に、桧山貴志は絶句した。「逮捕はされません」・・・犯行は十三歳の、中学一年の少年三人によるものだった。
四年後、娘と二人の暮しがようやく落ち着いた桧山の元を再び刑事が訪れた。少年Bが殺害された、さらに、桧山は疑惑の人となっていた。妻を惨殺した後に少年たちが過ごした過去の足取りを追ううちに、桧山の前に次々と驚愕の事実、恐るべき過去が浮かび上がってくる・・・「少年犯罪」「少年法」「更生とはなにを基準にするのか?」「贖罪とはなんなのか?」 重いテーマに、さらに犯罪被害者の問題を絡めて、ストーリーは後半いっきに加速する。
二転三転する展開をさり気ない伏線や練られたプロットががっちり支えていて、重い内容にもかかわらず読みはじめたら止まらない疾走感があった。登場人物の輪郭が薄いような感もあったが、ストーリーが充分に補っていると思う。犯人見えたり!・・・と得意になって読んでいたら、最後の仕上げで見事にしてやられた。う〜むむむ。



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