ベストセラー |
どれを読んでも女性の筆になるものとは信じ難いものばかり。綿密な調査と逞しい想像力と奥深い洞察力に感心するばかり。読む度に、いつも「やる気」をもらっています。
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日吉町クラブ(短編) ハードボイルド・アンソロジー『孤愁』に収蔵/初版15.Dec.'94/角川書店/初出『野生時代'93年12月号』 |
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毎週土曜日、男は一枚の記事の切り抜きをポケットに、ある『計画』を胸に、日吉町にある競馬場に通った。異なった場所に住み、異なった職業を持ち、普段まったくつながりのない、いわゆる鑑のない仲間を求めて・・・そうして集まった日吉町クラブのメンバーは何を目指すのか? 短編ながらぎゅっと引き締まった文体とハードボイルドな雰囲気が嬉しい。のちに『レディー・ジョーカー』に反映される登場人物たちの個性も光る。 |
照柿(てりがき) 初版15.Jul.'94/講談社 |
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燃えるあがるような夕焼けを熟した柿の色に例えた、なんとも視覚的で感覚的な一冊。ぎらつく夕日が瞼の裏を焦がし、その熱に煽られるようにぎらぎらと熱を帯びていく登場人物たちの焦りや苛立ちに巻き込まれ、読んでいる間中、共に暑苦しさに喘ぐほど引き込まれた。一作ごとに刑事部屋の面々にも個性が見えてきて、これがまた嬉しい。 |
地を這う虫 発行:1.Dec.'93/文芸春秋/'92〜'93 オール讀物掲載 |
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高村薫はやり場のない怒りを表現するのがとてもうまい!と唸った。やり直しのきかない過去に見切りをつけようと足掻きながらも、現在すらも犠牲にしてしまう男たちの正義感、焦り、あきらめ。地味な作品だがとても面白かった。 |
神の火 初版25.Aug.'91/新潮社 |
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腹の底に沈澱した怒りを抱え込んだ登場人物たち。それぞれに一癖も二癖もある仲間たちが、時に緻密に、時に破天荒にドエライことをやってのける。ときにハラハラ、たまにゲラゲラ、大いに楽しめた一冊。ラストの爽快さが心地良い。 |