■死ぬかと思った ■罠にはまった ■胸にこたえた ■腹がよじれた ■寝るかと思った

高村 薫の書庫


ベストセラー

どれを読んでも女性の筆になるものとは信じ難いものばかり。綿密な調査と逞しい想像力と奥深い洞察力に感心するばかり。読む度に、いつも「やる気」をもらっています。

涙を飲んで選ぶオススメの一冊
マークスの山

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高村薫 李歐(りおう)
'92年に刊行された「わが手に拳銃を」を下敷きに新たに書き下ろされた作品
発行:15.Feb.'99/講談社文庫/Sep.'02読
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現実感がなく、自分はまだ生きているのか、まだ重力はあるかと夜毎自問をくり返す一彰はある夜、闇のなかに白い手指を泳がせて夢のように踊る李歐に出会った。李歐・・・妖艶で大胆、磊落で快活、ときに大陸を渡る風ようにおおらかで、ときに薄刃のように危険な殺し屋。
「惚れた?」・・・共に投げかけた言葉から15年、二人で見た大陸の夢は絶望にまみれ、遠く離れてそれぞれに決して容易くはない時を刻みながらも、絶えず惹かれ合う二つの魂。壮大なスケール展開、絡み合う事件と愛憎、高村節が冴える!『わが手に拳銃を』をベースにあらたに書き下ろした作品。

レディー・ジョーカー レディー・ジョーカー/上下巻
発行:5.Dec.'97/毎日新聞社/'95〜'97 サンデー毎日連載を大幅に改稿/毎日出版文化賞受賞
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連載していた小説が見事な大作に生まれ変わった。思い当たる事件が時期を同じくして現実にあっただけに、読みながらも想像力が大いに掻き立てられた。かつて読んだ短編の登場人物たちと重複する顔ぶれにになつかしさを覚え、巧みなストーリー展開、人物描写に溜め息つきながらじっくりと読み進んだ。孤独な合田刑事の復活を含め、次作が待ち遠しい。

日吉町クラブ(短編)
ハードボイルド・アンソロジー『孤愁』に収蔵/初版15.Dec.'94/角川書店/初出『野生時代'93年12月号』
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毎週土曜日、男は一枚の記事の切り抜きをポケットに、ある『計画』を胸に、日吉町にある競馬場に通った。異なった場所に住み、異なった職業を持ち、普段まったくつながりのない、いわゆる鑑のない仲間を求めて・・・そうして集まった日吉町クラブのメンバーは何を目指すのか?
短編ながらぎゅっと引き締まった文体とハードボイルドな雰囲気が嬉しい。のちに『レディー・ジョーカー』に反映される登場人物たちの個性も光る。

高村薫 照柿(てりがき)
初版15.Jul.'94/講談社
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燃えるあがるような夕焼けを熟した柿の色に例えた、なんとも視覚的で感覚的な一冊。ぎらつく夕日が瞼の裏を焦がし、その熱に煽られるようにぎらぎらと熱を帯びていく登場人物たちの焦りや苛立ちに巻き込まれ、読んでいる間中、共に暑苦しさに喘ぐほど引き込まれた。一作ごとに刑事部屋の面々にも個性が見えてきて、これがまた嬉しい。

高村薫 マークスの山
初版31.Mar.'93/早川書房/第109回直木賞、第12回日本冒険小説協会大賞
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一つの人生が手繰り寄せる地獄。「山」を繋がりにそれに迫る男たち。壮絶な殺人劇が静かに終わりを迎える時、かすかな安堵とやるせなさが残った。 ひとつだけやたら気になったのは、高村薫の好み。色白の美男子が好みなのだろうか……。ひたむきで地味な女たちに比べ、男たちが繊細で、あまりにも美しすぎる。。。
これを読んで高村薫ファンになった記念の一冊。もちろん、合田雄一郎のファンになったことは間違いない!

高村薫 地を這う虫
発行:1.Dec.'93/文芸春秋/'92〜'93 オール讀物掲載
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高村薫はやり場のない怒りを表現するのがとてもうまい!と唸った。やり直しのきかない過去に見切りをつけようと足掻きながらも、現在すらも犠牲にしてしまう男たちの正義感、焦り、あきらめ。地味な作品だがとても面白かった。

高村薫 リヴィエラを撃て
初版20.Oct.'92/新潮社/第46回日本推理作家協会賞、第11回日本冒険小説協会大賞、日本推理作家協会賞
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面白い。スゴイ。のっけからぐいぐいと高村薫の罠にはまってしまった。スケールの大きさ、細やかな人物像、すれ違う人間たちと絡み合う陰謀、事件、世界を股にかける諜報合戦・・・すごい想像力、調査力だ。登場する男たちの繊細さやあまりの美しさにちょっと首をひねりもしたが、高村薫って本当に女……???と確認をしてしまう始末。いやはや、まったくすごい女性だ。

高村薫 神の火
初版25.Aug.'91/新潮社
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腹の底に沈澱した怒りを抱え込んだ登場人物たち。それぞれに一癖も二癖もある仲間たちが、時に緻密に、時に破天荒にドエライことをやってのける。ときにハラハラ、たまにゲラゲラ、大いに楽しめた一冊。ラストの爽快さが心地良い。


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