石ノ目
昔々、ある村で風邪がふいた。医療の知識はなく、村人は無抵抗に死を受け入れた。
働き手を失い、途方にくれる者。自分以外の家族を皆失った者。
そして、まだ幼い子供を失ったある夫婦。彼らは冷たくなった子供をむしろに寝かせ、一昼夜の間、悲嘆にくれた。貧しい時代、ろくに食べ物はなく、子供の腕は木の枝さながらに細かった。彼らは子供を小さな棺に入れ、見晴らしのいい場所に埋葬してやりたいと思い、二人で棺を抱えて山を登る。
はじめ
待ち合わせの時間に少し遅れて、木園が喫茶店へ入ってきた。木園と会うのはひさしぶりだったので、妙に気恥ずかしかった。
「もうすぐはじめの一周忌だ。花束でも買って、あいつが死んだ場所へ行こうじゃないか」
友人の木園淳男から電話があったのは、一週間前のことだ。
BLUE
買ったばかりのぬいぐるみの材料を小脇に抱え、ケリーは雨宿りのつもりでその店へ入った。看板は出ていなかったが、店内を見るかぎりどうやら骨董屋のようだ。そうでなかったら、町のがらくたを置いておくための倉庫かなにかだろう。
平面いぬ。
わたしは腕に犬を飼っている。
新潮cmくらいの、青い毛並みの犬だ。名前はポッキー。オス。彼はハンサムではないが、愛くるしい顔立ちをしており、口に白い花をくわえている。 |