……ところで、きみは鳩について考えたことがあるだろうか?
もちろん、あの鳩だよ。神社の境内や、公園の広場でクックッと首を動かして歩いている彼らさ。
いつも考えるんだ。レストランのメニューに載ってる鳩は、普段見ている鳩と同じなのかなって。実際には違うらしいね。神社やその辺にいる、首の周りが緑がかった灰色の連中は、食べてもおいしくないそうだ。
旧約聖書によると、大洪水ののち、水が引き始めたのを見て、ノアは鳩を放した。
鳩は、暫くするとオリーブの葉を嘴にくわえて戻ってきたので、ノアは水が引いたんを知ったことになっている。その故事により、オリーブの葉をくわえた鳩は今も平和の象徴になっているわけだ。 |
「奇遇だね」
「ほんとに」 二人はたちまち打ち解け、カフェの窓際の狭い席を陣取ると、計算式を書くのに熱中し始めた。外はオレンジ色の夕暮れ。青年たちの長い夜がはじまる。
そして、この奇跡的な偶然の出会いは、新たな技術の発見に繋がるのだ。
新たな技術、人類にとっては福音となる、素晴らしい画期的な技術の。
そして、彼らはまた旅を続ける。果てしない人類の旅。好奇心という名の、人類に与えられた最強のギフトを享受する旅。
そこには正解ない。だが、彼らは試みる。彼らは新たな地平を求め、今また新たな歴史の一ページを作ることを果敢に試みるのだ。 |