おさむちゃんの泡盛コラム-沖縄料理と私
投稿:おさむ(泡盛倶楽部)/沖縄在住/泡盛鑑定士予備軍?/?歳 (幼き頃力道山が活躍していた)

●ポーク&たまご
私には この40年余り、人には言えないトラウマがある。けっして虎、馬でもない、島ウマでもない、純然たる、Trauma である。私の小さい頃はご多分にもれず、親は共稼ぎであった。幸いなことに、よそと違って、私の母は実家で十数人を雇う、いわゆる家内工業家(?)であった。何が幸いかというと、貧しいなりに、実家での手作りの昼飯には事欠かなかったのである。が、しかし、学校から帰ってすぐに「かあちゃん、ごはん頂戴」というと、「ハ〜イ、すぐに支度するからね〜」と言い、作る料理はいつもの“ポークたまご”。「へい!へい!へい!いったい、いつになったらまともな家庭料理食わせてくれるのかな」なんて幼心に思ったものでした。

ところで、女房の得意料理が“ポークたまご”。あいえなー!私にとってポークたまごは愛情の感じえない料理(これは、いまだ持って女房には秘密)なのだ。

ところがである、この話を友人、知人にすると大変ひんしゅくを買うのである。昔はポークとか玉子とかは、大変貴重なものであったらしく、「一度でいいからポークたまごを死ぬほど食いたかった」と言う先輩たちの話を良く聞く。そういえば、何故か沖縄の食堂には“ポークたまご”なるメニューが必ずある。それも不思議だったが、敢えてそれを頼む人達も不思議でしょうがなかった。なるほど、その人達も他の人には言えないTrauma を抱えていたのだな、と近頃思う。

●続・ポーク&たまご
ポークというのは英語で豚肉のことをいうが、沖縄ではポークランチョンミートいわゆる豚肉缶詰のことを略してポークという。れっきとした外国製輸入商品なのだが何故か沖縄県だけで全国の輸入量の95%近くを占めるという、まさしく沖縄独特の食材なのだ。1990年12月まではポークランチョンミートのみでの輸入統計があったのだそうだが、それ以降は無いので残念ながら現在の輸入実績は定かではない。しかし現在でもポークの輸入実績や割合にたいして変化があるようには思われない。確かに何故沖縄だけ?という疑問は残る。こういう事は考えられないだろうか。

1.もともと沖縄の人は豚肉が大好き。
2.長い間の交易経験や異文化の統治下で異質なものを取り入れるのに抵抗感が少ない。
3.沖縄は子沢山で女性も働き者、料理は手軽にできるのがいい。
4.価格変動が少ないし廉価。
5.そして台風時の非常食として便利。

輸入国別の実績から行くとデンマークが約70%で一位、次いで中国が約19%、三位がアメリカの約10%(1990年実績)。ちなみに私の友人の勤める某食品 問屋は長い間の実績でデンマークより功労勲章を戴いたそうです。 ところで前回書いたポークたまごなる物は、このポークの薄切りをフライパンでいためたものに卵焼きを添えたもの。もっとも食堂ではそれに味噌汁とサラダが付いてくるのが定番。

沖縄の人の豚肉好きにまつわる話でこういうのがある。ある老人病院では最初にいろいろな動植物の絵のカードを渡してテストを行う。(何のテストかは知らないが)お医者さんがおばあさんに聞くに「おばあさんそれは何の絵ですか?」おばあさん、「これは食べ物の絵です」お医者さん、んんん・・・?食べ物の絵は渡した覚えは無いけどな。あばあさん続けて「耳も足もおばあの好物さぁ〜」*発音はNHKのちゅらさんの要領でお願いします。
確認のためにそのカードを返してもらったところ、そこにはまるまると太った豚の絵が描いてあったそうな。

泡盛倶楽部

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