レスキュー&育て方

羽ばたき練習を始めたら

しっかり立てるようになって、しきりに羽ばたきの練習を始めたら、そろそろ一人立ちに向けての環境作りをしてあげましょう!元気に飛びはじめるようになると、里親さんも安心して、つい気がゆるむ時期でもあります、でも、この時期からは思わぬケガや事故で命を落すヒナも多いことを覚えておきましょう。人の暮らしの中にあるさまざまな道具は、野鳥たちにとっては危険なものが多いのです。

一人立ちの準備事故が多くなります!飛べないヒナもいます

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一人立ちの準備

しばらくの間ですから、わざわざ鳥かごを買わずに深めのプラスチックケースなどでも代用できます。ポイントはある程度の高さがあって、見晴しがきくことです。ここでは説明がしやすいように、あたらしい寝場所のことを「鳥かご」と書くことにします。

鳥カゴなどの準備
ヒナがちゃんと立てるようになって、ちょこちょこ巣箱から脱走するようになる時期は、いろいろと危険が多いものです。しばらくは安全のために、保温ができる巣箱ごと新居に移してあげましょう。野鳥ですからできるだけ大きな鳥かごを準備してあげましょう。

まだ巣箱が必要なくらいのうちに巣箱ごと移せば、あまり怖がりません。しっかり飛び回るようになって移すと、鳥かごになれるのに時間がかかります。床には新聞紙を敷き、天井をはずして薄手のタオルなどぶせておきます。床に雑穀などばらまいておいて、脱走したときに見つけられるようにしておきましょう。鳥カゴを使う場合には、ケガの原因になりますから、底網はかならずはずしてください。カゴの中で翼をばたつかせて飛ぶ練習を始めたら、数日のうちに飛ぶようになります。

鳥かごは、閉じ込めるのが目的ではありません。部屋になれるまで、ケガなどがないよう用心のために入れるものです。近くで身守れる時にはできるだけ多くの時間、鳥カゴの外で遊ばせましょう。飛び始めても危険が少ないように、部屋の中の感覚を覚えさせておくのも大事なことです。家具のすき間などにもぐり込んでしまわないよう、危険なすき間はふさいでおいた方がいいですね。

鳥カゴはできるだけたくさん外の世界が見える安全な場所に置きましょう。外の光を感じさせ、外のさまざまな物音も聞かせてあげましょう。外の世界を見ずに育つと、だんだん外の世界をこわがるようになってしまいます。もちろん、夜ふかし、朝寝坊は禁物です。飛びはじめて、すっかり部屋にもなれたようでしたら、できるだけ長い時間飛ぶ練習ができる環境にしてあげましょう。理想的なのは、やはり放し飼いです。


止まり木の準備
野生に帰った野鳥はそれぞれに好みの寝場所をもつことになりますが、そのときのためにもカゴの中には止まり木が必要です。止まり木には、足が一まわりしてもまだ余るくらいの天然の木(できれば桜)の枝をみつけてきてあげましょう。長く育てる必要のある場合には、爪切りの手間も少しははぶけるそうです。成長にあわせて、だんだん太くしてあげましょう。

わが家でそだった片足が折れたままのすずめっ子“ピオ”は負けずぎらいだったようで、たくさん練習してよく飛びまわりました。飛ぶようになっても、はじめは足をたたんでダンボールの上などに寝ていましたが、やはり本能なのでしょうか、頑張って止まり木の上で上手に寝るようになりました。そして、何もかも元気な鳥たちに負けないようになって、たくましく空へ帰っていきました。

ケガがあってもちゃんと克服できます。野生の力は強いものです。上手に飛べない子や止まるのが下手な子にも止まり木は用意してあげましょう。止まり木なんてまだまだ……と思うくらい幼い頃からでも、ちゃんと止まり木にとまるようになりますから、早めに準備してあげましょう。そして、止まり木にとまっていたら……おめでとう!一人立ちへの第一歩です!

止まり木にとまって寝るようになったら保温の必要もなくなりますので、巣箱は取り出します。

外の世界にならす
いろんな方から聞いた話を考えてみると、よちよちのころから外につれ出して慣れさせるのは良い方法のようです。ただし、まだ一人では生きていけないヒナですから、突然思いっきり飛びはじめる子もいるので、すぐに迷子になるような広い場所では注意が必要です。また、猫や他の鳥の危険がある場所では、カゴに入れたまま連れ出す方が安全だと思います。

ちいさい頃から窓を開けっぱなしで育てて、自分で止まり木に止まれるようになると昼は外で遊び、夜は部屋にもどる生活をつづけたすずめもいます。やがて仲間ができて一人立ちしたそうです。飛び始めたら、窓を開けたまま育てるのもひとつの手かもしれないと思うこの頃です。もちろん、カゴの中に入れたままでは危険ですから、放し飼いが条件になります。猫やヘビと不安はいっぱいですが、いきなり外に出すことを考えれば安全な方法のように私には思えます。みなさんはどう思いますか?

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事故が多くなります!

思わぬ油断が事故につながっています!
この項目はかならず読んでくださいね

このころから好奇心が強くなって、あちこちへもぐり込んだり、人の足もとをちょこまか走りまわるようにもなります。悲しい話ですが、踏みつぶしてしまった例はとても多いのです。私も何度もハッとする経験をしました。気をつけましょう。また、すっかりなれて人が寝ているところにもぐり込んでくるすずめもいます。放し飼いにしている間は、知らずに寝返りをうって下敷きにすることなどないように注意しましょう。


溜めておいた水で溺れた例もよくあることです。深いため水でなくても溺れてしまったヒナもいます。鳥かごに付属している水入れ、水浴び用の器、野菜をさしたコップなど、頭が入れば溺れる危険があります。できるだけちいさな器、浅い器を使うよう、また台所やお風呂場などでため水をしないように心がけましょう。


自分でひなたぼっこをするのは良いのですが、カゴのまま陽射しの強い場所に長時間おいてしまい、日射病で死んでしまったヒナもいます。十分に気をつけましょう。日射病・熱射病の可能性がある場合は、ぐったりしていても決して保温はしないで、できるだけ涼しい場所で身体を冷やし、水分を補給してあげましょう。 >ケガや病気をしてたら?を読んでおきましょうね。


飛ぶようになってすぐの頃には着地がうまくできず、家具の後ろなどに落ち込んで、脚(あし)や翼を痛めてしまう事故も多いです。上手に飛べるようになるまでは、事故につながりそうなすき間は新聞紙などでふさいでおいてあげましょう。


中には好奇心からか、突然に人の目をつつく子もいます。私は間近でジーッと見つめあっていてやられました。何度も……。人の目にはいろんなものが映り込むので、興味を引かれるのでしょうが、ちいさなクチバシでも危険です。とくにお子さんがいる家庭では注意してください。


放し飼いにしていると、思わぬ事故が起こります。猫やカラス、ヘビなどの侵入にも注意が必要ですが、私たちが触れたり、一緒に遊んだりするときにも注意を怠らないようにしましょう。一瞬でも身体をぎゅっとしめつけるようなことがないように気をつけましょう。

野鳥と接する時の注意点
・胴体や胸や首をきつくしめ過ぎないこと(ちょっとした圧迫も命にかかわります)
・汚れていても決して洗剤を使って洗わないこと(ぬるま湯で湿らせたガーゼなどやわらかい布でふきます)
・箱に入れた場合は箱の中に充分に空気が通るようにしておくこと
・できるだけ大きな声を出さず、こわがらせないこと


同居しているペットにおそわれるケースも多いものです。「うちの猫は歳だから」「うちの犬はやさしいから」・・・こうしたちょっとした油断がかなしい事故につながっています。持って生まれた本能はふとしたはずみで顔を出すものですし、おそうつもりでなくても事故につながるケースもあれば、ヒナが自分からよっていくケースもありました。確実に隔離できる方法をとりましょう。

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飛べないヒナもいます

なんらかの理由で保護されるヒナたちですから、中にはいつまでたっても飛べない子や、生まれつき翼の力が弱い子たちもいます。頭を打って平衡感覚をなくていたり、眼や足の傷害がひどく、飛ばせると壁に激突してしまう子もいます。この場合は、かわいそうですが鳥かごの中で育てる方が安全です。それでも飛ぼうとしてカゴにぶつかる子には、最近はプラスティック製の鳥かごも市販されていて、金属製のものにくらべると少しは安全なようです。なんらかの安全な方法を考えてあげましょう。そして可能ならば、見守れるときにはカゴの外でたっぷり遊ばせてくださいね。

もしもこうした野鳥たちをどうしてもそのまま育て続けられないという場合、県によっては自然保護施設や野鳥園、動物園などで野生生物を保護しているところもあり、ケガをした野鳥を施設で育てたり、里親さんにあずけて育ててもらった野鳥を野生にもどすといった活動をしています。ただし、現実問題としてどこの施設も傷病鳥獣であふれているそうですから、引き取ってもらえるとは限りません。施設をさがしたい方は保護施設・病院リストへどうぞ。施設もみつからない場合には、クラブ掲示板に書き込んでみましょう。

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