レスキュー&育て方

巣立ち前? 巣立ち後?

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「巣立ち」とはヒナが自分の力だけで生きていく訓練をうけるために「巣をはなれる」ことです。スズメやヒヨドリなど小型の野鳥の多くは、巣立ってからはじめて地上で飛び方やエサのとり方、敵からの逃げ方、仲間同士のつきあいなどを親鳥や若鳥から学びます。そうしてヒナは自分でちゃんと飛べるようになり、やがて一人前に成長するのです。

でも、人は「巣立ち=一人前」というイメージをもっているので、そこがかん違いの始まりです。「飛べない=巣から落ちた?=ケガをしてる?=巣立ちの失敗?」と考えて、ヒナたちを保護してしまうのです。こうして保護センターや病院に持ち込まれるヒナのほとんどは、じつは保護の必要がない巣立ちヒナです。こうした人のかん違いによる保護は「誤認保護(ごにんほご)」とか、イヤな言葉ですが「誘拐(ゆうかい)」と呼ばれています。

まちがった保護はヒナたちを自然から引きはなしてしまうことになります。実際のところ、野鳥を育てるのはとてもむずかしくて根気のいることで、保護されたヒナの多くがエサの不足などで死んでしまっています。うまく育っても、人の手で育てれば自然へ返すことはむずかしくなるばかりですし、家族として大事に育てても、野生の鳥たちの望む環境をつくってあげることは人間にはできません。

もし「巣立ヒナ」だったら・・・よほどひどいケガや天敵(てんてき)などの危険がないかぎり、自分で立てないほどに弱ってないかぎり、放っておいて親にまかせるのが一番の手助けになります。逆に「落巣ヒナ(巣から落ちたヒナ)」だったら・・・すぐにでも行動してあげなければ命にかかわります。

ですから、まずは「巣立ヒナ」なのか、「落巣ヒナ」なのかをしっかりと見分けることが大事です。道でヒナに出会ったら、本当に保護が必要かどうかじっくり観察をして、どうしてあげるのが一番良い方法か考えてあげましょう。また、種類によっては地上のやぶの中などで暮らしている鳥がいることも覚えておきましょう。


・「巣立ヒナ」と「落巣ヒナ」・・・どうやって見分けるの?

■ 成鳥:クチバシは黄色が残っておらず、濃い色で固い。風切羽や尾羽が成長していて、全体的に細く引きしまっている

■ 巣立ヒナ:巣立ちの後のヒナで、もう巣にはもどりません。(ツバメの場合は巣立ち後もしばらくは巣にもどることがあります)
・ぱっと見たところでは羽が生えそろっているが、よく見ると産毛や地肌が透けて見える部分などが残っている。翼の下やお尻のあたりはまだハゲハゲの巣立ちヒナもいる。
・親鳥にくらべて尾羽が短かく、全体的にぷっくりしている
・親鳥にくらべてクチバシが短かく、クチバシの両はしに黄色(または白)い色が残っている
歩き回れる、ちょんちょん跳ねる、走る、羽ばたく仕種(しぐさ)をしたり、飛ぶことができるヒナもいる
近くには巣がなく、近くに親鳥がいない場合が多い

■ 落巣ヒナ:巣から落ちた巣立ちの前のヒナで、自分だけでは生きていけません。
・ぱっと見たところでは「巣立ヒナ」とほとんど同じだが、産毛が目立ち、翼を広げると地肌が見えていたりするヒナから、羽がまるでない丸裸のヒナまでいる。全体的に貧弱(ひんじゃく)・・・(^^;
・「巣立ヒナ」とほとんど同じ見た目のヒナから、羽がまだストローのような羽管(うかん)につつまれたヒナや、尾羽がほとんどはえていない丸裸のヒナまでよく保護される
・クチバシの両はしに黄色(または白)い色が残っているヒナから、クチバシが黄色(または白)一色のヒナまでいる
あまり跳ねない、走らない、羽ばたく仕種もあまりせず、もちろん飛べない、幼くてまだ立てないヒナもいる
近くに巣があって親鳥がさわいでいることが多いが、カラスなどに連れ去られる途中で巣から離れた場所に落とされているケースもある


・ツバメやムクドリの場合(例外)
前項でスズメやヒヨドリなどのヒナについて書いていますが、ツバメやムクドリの場合はちょっとちがうところがあります。

ツバメのように一日中空を高速で飛びまわる野鳥は、十分に発育して飛びまわれるようになってから巣立ちますから、ぽつんと地上にいるというのはちょっと不自然なことです。ツバメのヒナの場合は、しっかり立っていてちょっと飛べるようでも落巣ヒナである可能性があるのです。ですから、しっかり見きわめてあげることが大事です。

ツバメの場合は子だくさんのケースが多く、ある程度ヒナが成長してくると押しくら饅頭状態になって巣からはみ出すようにヒナが並んでいる光景をよく見かけますよね?ツバメは脚の力があまり強くないので、こういう状態での餌取り合戦のときに巣から落ちたり、巣立ちには早いのに兄弟の巣立ちに巻きこまれて落ちたりというケースがとても多いのです。それに、一度巣に戻してもまた落ちているというケースもよくあります。

ムクドリもある程度飛べるようになってから巣を離れます。とは言え、ムクドリの場合ははじめの頃の飛び方はとってもあぶなっかしいそうですから、やはり巣立ち直後にまちがって保護されることが多い鳥です。

いずれの場合も下の二つの方法を試してみて、遠く(できれば5m以上)離れた木陰や物陰などから、しばらく観察してみましょう。それでもすぐに落ちてくるようだったら、これは病気やケガがあるのかもしれません。ケガや病気をしてたら?を読んでみましょう。

■ 近くに巣がある>「落巣ヒナ」の可能性が大きい

丸裸のヒナ〜羽が生えそろっていても地肌が見えるヒナの場合
明らかに落巣ヒナです。ページ最下部のリンクから巣立ヒナだったら?へ進み、巣に戻してあげましょう。

>すっかり羽が生えそろって地肌も見えないヒナの場合
まだ上手に飛べないうちに早まって巣を飛び出した「落巣ヒナ」かもしれません。ツバメの場合はいったん巣立った後もしばらくは巣に戻ることもあります。ムクドリの場合はその辺はよくわかりませんが、巣がわかっている場合はいったん巣に戻してみましょう。ページ最下部のリンクから落巣ヒナだったら?でより詳しい情報を読みましょう。
それでもすぐに巣から飛びだしているようなら「巣立ちヒナ」の可能性もありますから、ページ最下部のリンクから巣立ヒナだったら?へ進みましょう。ただし、このとき気をつけなければならないのは、巣を飛びだしているのか、巣から落ちているのかという点です。じっくり観察してもわからないという方は野鳥駆け込み掲示板に詳しい状況を書いて投稿してみてください。

■ 近くに巣がない

>丸裸のヒナ〜羽が生えそろっていても地肌が見えるヒナの場合
明らかに落巣ヒナです。ページ最下部のリンクから落巣ヒナだったら?へ進みましょう。

すっかり羽が生えそろって地肌も見えないヒナの場合
飛び方は下手でも、地肌が見えないくらいにすっかり羽が生えそろっていたら巣立ち後、あるいは巣立ち直前のヒナでしょう。こういう場合は着地に失敗して地面に降りてしまったのかもしれません。

ツバメの場合は商店街や人の家の玄関先など人通りの多い場所で営巣しますから、ある程度人通りが多い場所でも大丈夫ですが、できれば近くでツバメの姿がたくさん見える場所を選んであげましょう。木の枝や塀の上などちょっと高い場所に止まらせて様子をみましょう。

ムクドリの場合はあまり人気の多い場所では親鳥も警戒して近づけませんから、場所を選んであげましょう。木の枝やのちょっと高い場所に止まらせて様子をみましょう。

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どうしてもわからない場合は野鳥駆け込み掲示板へどうぞ
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