海と空と針槐 > ご近所瓦版 > 如来と不動明王と願いごと(4/5)

臼杵の磨崖仏と九重  
   


如来と不動明王と願いごと

古園石仏古園石仏
一番見たかった古園石仏。テレビで見た印象ではもっと巨大な像かと思っていたのだが、よ〜く考えてみると見ていた私がまだちっちゃかったのだった。。
かつては中尊の大日如来像の頭部が落ち、体の手前の台座の上に据えられていた。その様子は自分の頭を膝に抱いているようで、なんだかとても不思議な光景で印象に残ったのだと思う。頭部が妙に四角っぽいのも特徴じゃないかと思う。大人になってから写真を見た時には、日本酒の四斗樽がふっと脳裏に浮かんだものだ。
前からの写真がぼけてしまったのが惜しいが、顔の表情は明らかに磨耗してきている。実際に目にして手許の資料の写真と比べてみても、顔立ちからしてずいぶん磨耗しているのがわかる。横にずらりと並んだ仏像の多くにももはや顔がなく、惜しいことだと思う。
*修復前の古園石の写真はこちらの(最下部)またはこちらで見れます


杉林の向こう側時間がないのが口惜しい
一通り石仏群を見終えたのだが、じつは深田川の向こうにもまだまだいろいろ面白そうなものがある。深田川の氾濫により半身が土に埋もれているユーモラスな表情の「仁王像」、かなり興味をそそられる「真名野長者夫妻像」などなど。今回は時間がないのが惜しい。とくに顔に醜い痣のあった姫さまがこの井戸で顔を洗ったら痣がとれ美女になったという「化粧の井戸」・・・これはまた行くっきゃないなぁ。。。


大迫力の不動明王入り口辺りまで戻ったところで、入ってすぐの所にあった案内板が目にとまった。確か「願かけナントカ」と書いてあった。仲間も観光客もさっさと先を急ぐので、気になりつつも飛ばした場所だ。今になってパンフレットを見ても載っていない。
矢印に方向に進んでみると、植物の太い根っこを利用した細い道らしきものが急斜面を這い登っている。仲間は「ほんとになんかあるのぉ〜?」と首を傾げたが、私はさっさと先へ進み、みつけたのだ!岩をくり抜いた祠の中に、なんとも恐ろしげな顔をした堂々たる不動明王の姿を!
大きさは人物大よりちょい小さめだが、威風堂々鋭い眼力でこちらを睨めつけていた。
「これをみつけた人、びっくりっしただろうねぇ。腰を抜かしたんじゃない?」
おかしな看板としみじみ眺めていると・・・なんだか血が騒いでワクワクしてきた。如来をかたどった穏やかな磨崖仏群を見て感じたものとはちょっと違う、なんとなく元気な感動。う〜む、私はまだまだ青いのか……?
両手を合わせてちゃっかり願いごとをして、叶えてくれたらまた来ますと約束した。


私のちゃっかり願いが叶うかどうかはさておいて、この立て看板に注目してほしい。
「縁結び」「当選祈願」「諸願成就」はわかるとして、「リストラ除け」とは……???
友人によると、古園石仏の大日如来の下に落ちていた首が繋がったことから、昨今の不況下で急きょ「リストラ除け」という項目が増えたのだそうだ。以来、大日如来の小さなキーホルダーやお土産類はリストラ除けのお守りとして売れに売れているそうな・・・大日如来さまはご存知なのだろうか?
しまった!祈願箱に気づかなかった!!!


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