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我輩はグッチである


グッチとワトソン君

 

お喋りインコ“ワトソン君”

グッチの独り言

ここの家にはいろんなお客が来るけど、“鳥”というものが来たのは初めてだ。なんだか美味しそうな匂いがして、なんだか体がむずむずして、追っかけずにはいられない。でも、追っかけるとRITZに叱られる。
ゴエモンさんはなんにも感じないみたい。頭に止まられても突っつかれても、じーっとしていて楽しそう。ワトソンが遊ぶ時には一緒に遊びたいのに、RITZは私を閉じ込めた。でもだんだん一緒に遊ばせてくれるようになった。
追っかけっこは面白かった。でも、ワトソンはすぐに高いところへ逃げてしまうのがつまんない。夜には一緒に寝た。ゴエモンさんはタオルをかけたカゴの上に、私はタオルの中に潜り込んでカゴの横で。時々カゴの中からワトソンに毛を引っ張られて、くすぐったかった。
しばらくすると、ワトソンはいなくなった。ゴエモンさんと一緒にずっとさがしたけど、どこをさがしてもいなかった。

RITZの独り言

ある春の日、マンションのベランダで洗濯物を干していると、一羽のインコが頭にとまった。
よく人に懐いているので、飼い主はさぞ心配してるだろうと、役所に警察、近所での貼り紙作戦も試したが、飼い主は見つからず、またまた仲間が増えることとなり、“ワトソン君”と命名。
ゴエモンは会った途端にワトソンと友達になった。背中に止まったワトソンを興味深げにじ〜っと眺めていた。一方、グッチにとってワトソンは“餌”にしか見えないようで、ワトソンが部屋で遊ぶ間、グッチが籐のテーブルに閉じ込められるというハメになった。
二週間後、ようやく仲間と自覚したグッチの背中にもワトソンがとまるようになった頃、新品の鳥カゴとボロボロになったベンジャミン・ゴムの木を残して、ワトソンは窓から飛び去っていった。残された一人と二匹は、しばらくの間静かな淋しい日々を過ごし、また同じベッドで寝るようになった。

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