レイ・ブラッドベリの立ち読み


老人と犬 本棚に戻る
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老人が目をむけると、犬は、茶色のプラスティック製ワームに釣り針を刺し、明るいオレンジ色の尾へ通している老人の手を見つめていた。老犬は、木の間を漏れる遅い午後の日がつくる川岸の…… 「なんて名前をつけてやろうか?」とラドロウは小声で子犬に話しかけた。
ラドロウに抱きしめられたまま、子犬はすやすやと眠りつづけた。

ロード・キル 本棚に戻る
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また夏がやってきた。ルールは八九号の北向き車線を、ウォーターベリーに向け車を飛ばしていた。目の前のフロントガラスが、否応無しに夏の到来を告げていた。蚊、ハエ、蜂、ぶよ、カゲロウ…… 猫がいないのは寂しいが、まるで我が家のようだと思った。ルールは腰を下ろし、途中になっていた作業を再開した。あれもこれも、そしてあっちもこっちも、自分のできることをやり始めた。