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岩井志麻子の書庫

ベストセラー

『岩井志麻子ホラーといえば、明治・岡山・貧乏。「またかい」「それしか書けんのか」と突っ込まれることは百も承知。「またまたじゃ!わしゃ、これしか書けんのじゃ」と威張らせてもらいます。/2001年版このミステリーが面白い(宝島社) 「私の隠し玉」より抜粋』岩井志麻子氏、なかなかに面白い方のようです。

涙を飲んで選ぶオススメの一冊
ぼっけえ、きょうてえ

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岩井志麻子 夜啼きの森
横溝正史の『八つ墓村』から半世紀を経た今、新たに語られる“津山三十三人殺傷事件”
初版30.Jun.'01/角川書店/口絵図版:角川書店装丁室/'01年読
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妖しげな月光に浮かぶ森の陰に点在する23戸の集落。閉ざされた古い村に満ちた因習と根深い貧困が、ついには鬼を育て上げてしまうのだ。淡々と綴られる筆致ながら、絡みつくような岡山弁が人々の体臭までも匂い立たせる。やがて月は満ち、蒼い鬼の中で静かに熟成された狂気が満月の森を駆け抜ける。無声映画のごとき静かなる終焉にため息ばかり。
『(この事件を題材にした)名作・傑作はあるけれど、生っ粋の岡山人が書いた津山事件は多分、私が初めてのはず。岡山の恐ろしさ、思い知ってもらうでぇ!』(/2001年版このミステリーが面白い(宝島社) 「私の隠し玉」より抜粋)と宣うておられます。いやはや、思い知りました。
関連書籍 津山三十三人殺し一日本犯罪史上空前の惨劇(新潮OH!文庫)
日本の犯罪史どころか、70年近くに及び世界一の被害者数を記録した“津山三十三人殺傷事件”。二十二歳に至るまでの犯人の人生、犯行の動機や犯行後の発言、犯行順序から細部に渡るマップまで、事件についての詳細を調べ上げたノンフィクション。

岩井志麻子 岡山女 :短編集
<岡山バチルス 岡山清涼珈琲液 岡山美人絵端書 岡山ステン所 岡山ハイカラ観商場 岡山ハレー彗星奇譚>
初版31.Nov.'00/角川書店/直木賞候補作/'01年読
口絵図版:甲斐庄楠音《見返り美人》昭和五年頃/装幀:角川書店装丁室
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陸蒸気の開通や駅前観商場に賑わう明治の終りの岡山。隻眼の霊媒師タミエの右目に映る様々な依頼人、無くした左目をよぎる生霊・死霊の気配。ねっとりと流れる文章で綴られる「日本怪奇小説」と呼ばれるに相応しい一冊。

岩井志麻子 ぼっけえ、きょうてえ:短編集
<ぼっけえ、きょうてえ 密告函 あまぞわい 依って件の如し>
初版30.Oct.'99/角川書店/第六回日本ホラー小説大賞、山本周五郎賞受賞作/'00、'01年読
口絵図版:甲斐庄楠音《横櫛》大正五年頃 京都国立近代美術館蔵/写植印字:前田成明
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「ぼっけえ、きょうてえ」は岡山の方言で「とっても、怖い」。耳元で囁かれるような女郎の風変わりな一人語り。背中を寒気が這うような、首筋の後ろがちりちりするような、しんしんと底冷えのする静かな恐怖に出会う。


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