■死ぬかと思った ■罠にはまった ■胸にこたえた ■腹がよじれた ■寝るかと思った

伊島りすとの書庫


ベストセラー

犯罪心理サスペンスの名人レンデルの作品では、大胆で迫力ある殺人や恐怖のシーンよりも、淡々とした情景や心理の描写の中からふっと立ちのぼる気配に背筋をゾクッとさせられることが多い。私の大好きな作家の一人だ。みんなに読んで欲しくて本を貸し、今では2冊しか残っていない。。。

涙を飲んで選ぶオススメの一冊
ジュリエット

←ベストセラーへのリンクはInternet Explorer 5、Netscape Navigator 6 以上のブラウザで快適にご覧になれます。詳細は『この書庫の使い方』へどうぞ

 

伊島りすと JULIET/ジュリエット
初版10.Jul'01/角川書店/角川書店装幀室/第8回日本ホラー小説大賞受賞/'01年読
ブックマーク
妻を亡くし友人の保証で自己破産した健次は、開発されたまま放り出されたリゾート施設に職を求めて南の離島にやってきた。幼い息子にせがまれ海底から拾い上げた水字貝をペンションに持ち込むと、島の老人から貝にまつわる忌わしい迷信を聞くことになる。その夜、ひょんなことから健次は息子と十四歳の娘ルカと共に「水字貝の魂抜け」を目撃してしまう。やがて管理人としてリゾートに住み込みをはじめた親子のまわりで、奇妙な出来事が起こりはじめる。
どこから読んでもホラーであり、ホラー大賞まで受賞しているのだが、私にはひさしぶりに美しい話を読んだという印象が強い。途中、中だるみする部分もあるが、怖いけれど切ない結末へと至るラストには圧倒的な引力がある。が、なにより細やかな描写と独特の言葉使いが好き。


書庫トップに戻る